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業務時間外にメール対応しない「つながらない権利」--コロナ禍で新たな動きに注目 - (page 2)

Daphne Leprince-Ringuet (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2021-05-01 08:30

 新しいポリシーでは、異なるタイムゾーンをまたがって労働が行われる場合や、国外出張が必要な仕事などの就業時間が通常とは異なる仕事の仕方も認める必要がある。同様に、一部の労働者は、自分のワークライフバランスのニーズに応じてより柔軟な形で働きたいと考えるかもしれず、仕事と娯楽の明確な境界線を定める際には、このことも考慮に入れるべきだと述べている。

 境界線が明確に定められ、雇用主と従業員の双方の合意を得たら、従業員の個人的な生活の侵害をできるだけ少なくすることが重要になる。この実務規範によれば、このことは企業内のコミュニケーションにも反映されなくてはならない。例えば、就業時間外に送信される電子メールやメッセージでは、緊急でない場合には、不必要に緊急性を強調するのは避け、ただちに返事を返さなくてもよいと明言しておくべきだという。

 この新たな指針は、多くの労働者にとって良いタイミングで実現されることになりそうだ。簡単にアクセスできるデジタルコミュニケーションプラットフォームが普及したことで、1日中電子メールやメッセージを簡単にチェックできるようになったことに加え、コロナ禍によってこの1年で突然リモートワークに切り替わったことで、就業時間と余暇の時間の境界線が曖昧になっているからだ。

 英国の労働組合会議であるTUC(Trades Union Congress)が最近実施した調査のレポートでは、新たな技術が適切な労働時間の範囲を超えて労働者のプライベートな領域を侵害しており、従業員が完全に仕事から切り離されることがない「常時オン」の仕事文化が助長されていることが明らかになった。

 TUCによると、最近の調査で、44%の従業員がこの1年間完全に仕事から切り離されたと感じたことがなく、3人に2人ほどが就業時間外にも定期的に電子メールをチェックしていることが分かった

 TUCで労働権分野の責任者を務めているTim Sharp氏は、米ZDNetの取材に対して、「労働者や労働組合は、長年に渡って長時間労働と戦ってきたが、依然として多数の人々が極限の過労にとらわれている」と語った。「テクノロジーの発達によって仕事とプライベートな生活の境界線が曖昧になり、一部の上司が昼夜を問わず部下に連絡を取れると考えるようになったことが、労働者の長時間労働を招く圧力になっている」と同氏は言う。

 Sharp氏によれば、労働法をテクノロジーによって職場に起こっている急速な変化に対応できるようにすることが喫緊の課題だという。TUCは、レポートで示した提言の中で、労働者が生活の中に仕事の連絡を取らなくていい時間を作れるように、仕事から離れられるようにする法的な権利を創設すべきだとしている。

 Sharp氏はその例として、フランスなどの国々では2017年につながらない権利が法律で定められ、労働者には就業時間外に仕事の電子メールを読まないことが認められていることを指摘した。「アイルランドの新たな指針は次の一歩だ」とSharp氏は言う。「英国の労働者も、法で定められたつながらない権利で保護されるべきだ」

 Varadkar氏は、つながらない権利に関する新たな実務規範以外にも、雇用主にリモートワークを求める権利に関する国民からの意見の募集を開始し、この権利をどのように法制化すべきかについての意見を集めている。現状でもアイルランドの労働者は雇用主に対して在宅勤務を求めることできるが、新たな法律では、いかにしてこの要望に対応しやすくするべきかが明確に定められることになる。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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