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企業を悩ませるクラウドの支出管理--「FinOps」と呼ばれる新たなアプローチとは

西浦詳二 (SoftwareONE/Myriadus)

2021-04-26 07:00

FinOpsの概要

 FinOpsはクラウドがもたらす多くの利点、例えばイノベーションの促進、柔軟な構成変更、新しいトレンド導入が容易であるなどを妨げることなく支出を管理する枠組みを実現しようと、パブリッククラウド(以下クラウド)がまだ黎明期だった2012年ごろから活動が始まった。

 2019年にFinOps Foundationが設立され、2020年にLinux Foundationに合流した。先日は Google がプレミアメンバーとして参加することがアナウンスされるなど、クラウドの利用と提供の双方から関心が急速に高まっている。筆者は日本とグローバルな組織におけるクラウドの活用と管理の実務に関わっているが、ユーザーからの関心の高まりを感じている。

 本稿では、FinOpsの概要を筆者の視点を交えて紹介する。

FinOpsの背景にあるもの

 FinOpsが注目を集める背景には、「クラウド支出が思ったよりかさむ」といった直接的な課題意識だけではなく、クラウドがもたらす従来型IT投資との構造的な違いに対応するには新たな枠組みが必要だという認識がある。

 例えば、従来のシステム構築に際して投資判断と調達をして長期的、固定的に減価償却するモデルから、より柔軟に高い頻度で支出をコントロールできる点を巧みに利用して、スピード、コスト、品質のトレードオフのバランスをより高い次元で実現する必要性が認識されている。FinOpsは国際規格などのように準拠すべきルールや義務を提示するのではなく、費用対効果に重点を置き、また、理論的な枠組みよりも、より実利的な実践を重視している。

 また、ユーザー組織がクラウドの支出を管理することを優先課題としていることは各種調査でも示されている。例えば、図1の調査ではセキュリティに続いて高い関心事となっている。

図1:パブリッククラウドの課題意識(出典:Flexera 2021 State of the Cloud Report)
図1:パブリッククラウドの課題意識(出典:Flexera 2021 State of the Cloud Report)

 FinOpsは以下を通してクラウド支出のアカウンタビリティー(説明責任)をもたらすことを目指している。

  • 対処、実例、カルチャーなどについて実践的な処方を提示すること
  • 集権的でなく、製品、財務、事業企画など、異なる役割から参加するチーム構成を前提とすること
  • コスト低減ではなく、事業価値の増進を指針とすること
  • 中心的なコンセプト--6つの原則

     FinOpsの指針として、メンバーの活動から作られ、実践によって実証されている6つの原則がある。

    1. 財務、技術、企画など、異なるチームが協調する
    2. 意思決定の指標は(コストではなく)クラウドがもたらすビジネス価値に基づく
    3. 全員が自身のクラウド利用の当事者である
    4. FinOpsレポートはタイムリーにアクセス可能である
    5. FinOpsチームが活動をドライブする
    6. 変動コストモデルの利点を最大限活用する

     これはクラウドを定義付ける要素として挙げられる 「OSSM」と密接に関連している。OはOnDemand(オンデマンド)、SはScalable(拡張性)とSelf-service(セルフサービス)、MがMeasurable(測定可能)だが、先に書いた減価償却モデルから消費モデルへの変化は主にオンデマンドによってもたらされている。

     また、セルフサービスによって購買を決める人と、その購買を経理と財務面から統制する人/チームが異なることもFinOpsが対処しようとしている側面だ。例えば、開発者が使うクラウド環境の購買は開発者自身、あるいは開発部署内で通常は完結し、調達部署の承認を得るというワークフローは通常ない。スピードとイノベーションを阻害する可能性があるためだ。そうすると無秩序な購買と無駄を招くリスクが残るが、組織内の違った役割を持つチーム間の連携によって対処することになる。

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