Linus Torvalds氏は米国時間4月25日、Linuxカーネル 5.12のリリースを発表した。同氏は、今回のバージョンは「小規模なアップデート」だったと述べ、次のバージョン5.13での変更はもう少し大規模になる可能性があると予告した。
Torvalds氏は、「shortlogの出力もdiffstatの出力も非常に短く、今回は主にさまざまな領域の小規模な修正を寄せ集めたものになった」と説明している。
Linux 5.12がリリースされ、5.13のマージウィンドウが始まるとしているが、同氏は開発者に対して5.12のテストを行うことを勧めている。
「1週間の延期はあったが、実際のところ、今回は全体としてはかなり小規模なリリースだった。linux-nextから判断すると、5.13ではその分を取り戻しそうだ」とTorvalds氏は述べている。
Linux 5.12では、変更点の数こそ比較的少なかったものの、「Microsoft Surface」をはじめとするさまざまなハードウェア向けに、注目に値する改善が加えられているようだ。Phoronxによれば、Linux 5.12では、Surfaceの「System Aggregator Module」に関する修正が加えられた。
また、LenovoとRed Hatのエンジニアの取り組みのおかげで、LenovoのノートPCのハードウェアプロファイルに対するサポートが改善された。これによって、ユーザーはLenovo製ノートPCの電源やパフォーマンスのレベルを変更できるようになった。
Torvalds氏は、今回のリリースの目立った変更点として、AMDと「Intel i915」のGPUに関する修正を挙げている。IntelのGPUに関する修正は、「iGPU Leak」の呼ばれる、Intelの内蔵GPUに存在する脆弱性の緩和策を無効化するオプションが追加されたというものだ。
また、Intelの「Tiger Lake」に搭載された「Xe」(Gen12)以降のGPU向けに、VRR(Variable Rate Refresh)と「Adaptive-Sync」がサポートされた。ほかにも、「Radeon RX 6000」シリーズのオーバークロックに対応したほか、「Nintendo 64」や、「PlayStation 5」の「DualSense」コントローラー用のドライバーも追加されているようだ。
ハイパーバイザーに関しては、MicrosoftがLinuxを「Hyper-V」のrootパーティションとして起動できるようにするパッチを提供した。またLinux 5.12では、KVM(Kernel-based Virtual Machine)に関して、x86/x86_64のサポートにより、ユーザー空間でXenのハイパーコールをエミュレートできるようになった。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。