今の社会は、仕事の「ニューノーマル」を試行錯誤する段階に入っている。企業が理想のハイブリッドな働き方を見つけようともがく中、どうすれば生産性を上げられるかを検証する壮大なA/Bテストが行われているといえるかもしれない。
オフィスでの業務再開に向けた各企業の計画は流動的だが、企業にとっての最大のリスクが何であるかははっきりしている。それはコロナ禍以前の仕事観に幻想を抱くことだ。よく考えれば、以前の「普通」はそれほど素晴らしいものではなかったし、古い働き方にはひどい部分も多かった。
考えてもみてほしい。
- 通勤には毎週何時間もかかっていた。
- オープンフロア型オフィスは最悪で、締め切り間際に仕事に集中するためにはノイズキャンセリングヘッドホンが必要だった。多くの人はほんの2フィート(約60cm)先に誰かが座っている状況で仕事をしていたし、自分の周囲20フィート(約6m)以内に座っている人が自分の家庭や、病気や、住宅ローンの問題を抱えていれば、その問題の内容は筒抜けだったかもしれない。
- 集中できる環境はぜいたくなものだった。
- 地価が高い大都市にあるオフィスは、多様性や包摂性を実現する取り組みには不利だった。これは、新入社員がそのような大都市に引っ越そうとすれば、検討するだけでも両親の支援が必要だったからだ。リモートワークは多様性の改善に役立つだろう。
- そして、オフィス環境は、対面で人的ネットワークを構築するのが得意な外向的な人たちに有利だった。「Zoom」や「Microsoft Teams」などのテレビ会議システムに不満のある人もいるだろうが、フィードバックが民主化されたことは確かだ。
従業員の間で起きていた、中学生の間で起きるような下劣な人間関係の話をするのはやめておこう。私の人生の教訓は、波があるだけで、中学生時代は永遠に終わらないというものだ。高齢者施設での90代の老人たちのやりとりでさえ、見れば中学生時代を思い出す。
筆者は、再開後の新しいオフィスのあり方は、高校の同窓会のようなものになると考えている。しばらく会っていない人には久しぶりに会いたくなるが、実はそれで十分であり、私たちが一斉にオフィスに戻っても、2週間も経てば、オフィスはそんなにいいものではなかったと気づくのだ。