米ZDNet編集長Larryの独り言

働き方のニューノーマル形成へ--コロナ後見据え、試行錯誤する企業

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2021-05-10 06:30

 今の社会は、仕事の「ニューノーマル」を試行錯誤する段階に入っている。企業が理想のハイブリッドな働き方を見つけようともがく中、どうすれば生産性を上げられるかを検証する壮大なA/Bテストが行われているといえるかもしれない。

 オフィスでの業務再開に向けた各企業の計画は流動的だが、企業にとっての最大のリスクが何であるかははっきりしている。それはコロナ禍以前の仕事観に幻想を抱くことだ。よく考えれば、以前の「普通」はそれほど素晴らしいものではなかったし、古い働き方にはひどい部分も多かった。

 考えてもみてほしい。

  • 通勤には毎週何時間もかかっていた。
  • オープンフロア型オフィスは最悪で、締め切り間際に仕事に集中するためにはノイズキャンセリングヘッドホンが必要だった。多くの人はほんの2フィート(約60cm)先に誰かが座っている状況で仕事をしていたし、自分の周囲20フィート(約6m)以内に座っている人が自分の家庭や、病気や、住宅ローンの問題を抱えていれば、その問題の内容は筒抜けだったかもしれない。
  • 集中できる環境はぜいたくなものだった。
  • 地価が高い大都市にあるオフィスは、多様性や包摂性を実現する取り組みには不利だった。これは、新入社員がそのような大都市に引っ越そうとすれば、検討するだけでも両親の支援が必要だったからだ。リモートワークは多様性の改善に役立つだろう
  • そして、オフィス環境は、対面で人的ネットワークを構築するのが得意な外向的な人たちに有利だった。「Zoom」や「Microsoft Teams」などのテレビ会議システムに不満のある人もいるだろうが、フィードバックが民主化されたことは確かだ。

 従業員の間で起きていた、中学生の間で起きるような下劣な人間関係の話をするのはやめておこう。私の人生の教訓は、波があるだけで、中学生時代は永遠に終わらないというものだ。高齢者施設での90代の老人たちのやりとりでさえ、見れば中学生時代を思い出す。

 筆者は、再開後の新しいオフィスのあり方は、高校の同窓会のようなものになると考えている。しばらく会っていない人には久しぶりに会いたくなるが、実はそれで十分であり、私たちが一斉にオフィスに戻っても、2週間も経てば、オフィスはそんなにいいものではなかったと気づくのだ。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

関連記事

関連キーワード
ワークスタイル変革

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  3. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]