英Armが「Neoverse N2」と「Neoverse V1」の両プラットフォームの情報を初めて公開してから数カ月が経過した。そしてArmは現地時間4月27日、これらプラットフォームのパフォーマンスや特長の詳細に光を当てるとともに、クラウドやハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)などでの特定処理を実行するために「Neoverse」製品ファミリーを採用しているパートナー企業を紹介し、そのエコシステムの拡大をアピールした。
以下は、Neoverseベースの製品に関する新たなニュースだ。
- Marvellのネットワークプロセッサーである「OCTEON」ファミリーの新世代製品はNeoverse N2をベースにする予定であり、現行世代のOCTEONに比べると3倍の性能向上を実現する。サンプル出荷は2021年末までに始まるという。
- インドの電子情報技術省(MeitY)は国家主導のエクサスケールHPCプロジェクトでNeoverse V1のライセンス供与を受ける計画だ。
- 騰訊(テンセント)は、Neoverseのテクノロジーをクラウドアプリケーションで導入できるよう、ハードウェアのテストとソフトウェア機能の充実化に投資している。
- Alibaba Cloudが今後提供を予定している「Alibaba Cloud ECS Arm」インスタンスをテストしたところ、Arm環境の「Alibaba DragonWell JDK」で性能が50%向上した。
- Oracleは「Oracle Cloud Infrastructure」で、最高160基のNeoverse N1コアを搭載する「Ampere Altra」CPUを採用する計画だ。
- Amazon Web Services(AWS)におけるArmベースの「Graviton2」により、「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)のフットプリントが急速に拡大している。
ArmのChris Bergey氏は米ZDNetに対して、「(AmazonがGraviton2をローンチした際に)人々が驚いたのは、Arm(アーキテクチャー)によって注目に値するコアを開発できるという単なる事実ではなく、AWSがそういったコアを64基搭載し、スケールアウト型のワークロード全域で一貫性あるパフォーマンスを実現したという事実だ」と述べた。このような一貫性あるパフォーマンスは、Armの「Arm CoreLink CMN-600 Coherent Mesh Network」というメッシュ型のインターコネクトによってもたらされているところが大きい。
またArmは同日、Neoverse V1やNeoverse N2ベースのより高いパフォーマンスを実現するSoCを構築するための中核製品として「Arm CoreLink CMN-700 Coherent Mesh Network」を発表した。
その一方、Neoverse V1は以前に発表されている通り、Neoverse N1に比べて50%の性能向上をもたらすとともに、機械学習(ML)のワークロードで4倍の性能向上を実現する。この製品は、HPCとエクサスケールコンピューティングに焦点を当て、パフォーマンスファーストという設計哲学に基づいて開発されている。このため、パイプライン設計の幅と深さも拡張され、同社がこれまでに開発したアーキテクチャーの中で最も幅広いものとなっている。
また、Neoverse N2は「Armv9」アーキテクチャーに基づいた初のプラットフォームとなっている。この製品は、Neoverse N1と同じレベルの電力効率と面積効率を維持しながら、単一スレッドのパフォーマンスでN1比40%の性能向上を実現している。ハイパースケールクラウドのような高スループットが要求されるコンピューティングにおいて、N1上のNGINX比で1.3倍の性能向上を実現している。またエッジや5Gといった、電力と設置空間に制約のあるユースケースでは、N1上のDPDKパケット処理と比べると1.2倍の高速化を実現している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。