ベルギーのISPに大規模なDDoS攻撃--公的機関のサイトが広範囲でダウン

Danny Palmer (ZDNET.com) 翻訳校正: 緒方亮 吉武稔夫 (ガリレオ)

2021-05-06 15:07

 ベルギーで、大規模なDDoS攻撃(分散型サービス妨害攻撃)が発生し、政府機関、国会、大学、研究機関など約200組織のウェブサイトがダウンした。

 現地時間5月4日午前11時に始まったこのDDoS攻撃では、ウェブサイトが大量のトラフィックに対処できず、訪問者がサイトを利用できなくなったほか、内部システムにも影響が及び、システムがインターネットに接続できなくなった。

 攻撃の標的になったBelnetは、ベルギーの教育機関、研究センター、科学機関のほか、省庁や国会など政府のサービスを担う、政府出資のインターネットサービスプロバイダー(ISP)だ。一部の会議と委員会は、参加に必要なオンラインサービスが利用できず、延期を余儀なくされた。

 この攻撃を受け、封じ込めと解決のため、ベルギーのサイバーセキュリティの中央当局であるCenter for Cybersecurity Belgium(CCB)に連絡がいった。ここまで混乱が大きくなったのは、ひとつには、攻撃側が手法を変え続けたためだった。

 Belnetのテクニカルディレクターを務めるDirk Haex氏は、「攻撃側が絶えず戦術を変更したことで、制圧が一層難しくなった」と述べた。

 DDoS攻撃から1日後のBelnetによる最新情報によると、Belnetのサービスは再び利用できるようになったが、追加攻撃の可能性をBelnetは引き続き警戒しているという。

 Haex氏は、「われわれのネットワークにつながっている組織とそのユーザーへの影響は十分に把握しており、機能を大きく混乱させてしまったと認識している」と述べた。

 DDoS攻撃は、サイバー犯罪者にコントロールを奪われてボットネットに引き込まれたサーバー、コンピューター、IoTデバイスを悪用し、そのトラフィックを使って標的の能力を圧倒することで、標的を誰も利用できないようにするものが多い。

 今回の攻撃側の目的は混乱だけだ。Belnetは、この攻撃によるデータ漏えいやデータの窃盗はなく、サイバー犯罪者によるネットワーク侵入もなく、攻撃側はウェブのトラフィックでネットワークを圧倒しただけだと明言している。

 Belnetによると、攻撃側が何者なのかはわかっておらず、調査を進めているという。また、BelnetはすでにFederal Computer Crime Unit(FCCU)に報告している。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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