Dell Technologiesは米国時間5月5~6日、オンラインで年次イベント「Dell Technologies World 2021」を開催中だ。5日の基調講演では、創業者で会長兼最高経営責任者(CEO)のMichael Dell氏らが登場し、このところのフォーカスであるエッジ、アズ・ア・サービスの主に2分野について戦略や新製品を発表した。
エッジでのデータ処理が次の主戦場に
今回で2度目のオンライン開催となったイベントの内容は、2020年来のフォーカス分野であるエッジ戦略、そして、2020年秋に発表したアズ・ア・サービス「 APEX」が中心となった。
Dell Technologies 会長兼CEOのMichael Dell氏
基調講演でDell氏は、「DXが加速している。ハイブリッド、分散化、リアルタイムでのデータ処理、アナリティクスが加速要因となっている」と切り出した。コロナ禍により急速にリモートワークが進むなど、「Do anything from anywhere」の世界に移行しつつあるが、これが起こっている場所がエッジだという。
Dell氏は、「現在データの10%がデータセンターの外で処理されている。2025年には75%のデータが伝統的なデータセンターやクラウドではないところで処理されるようになる」という予測を引用し、「データをアウトカム(成果)に変えるためには、リアルタイムのアナリティクスとインテリジェンスが必要」と続ける。企業も投資を進めており、今後10年でCAPEX(設備投資)として7000億ドル以上がエッジインフラに費やされるという予想もあるという。
エッジ領域ではVMwareとの協業を進める。Dell氏はまた、「VMwareとDellはDX(デジタル変革)を支援するマルチクラウドプラットフォーム」とし、「VMwareのコンテナーオーケストレーション『Tanzu』でアプリケーションをモダン化し、『VMware Cloud』とわれわれの技術により、パブリッククラウド、プライベートクラウド、コロケーション、エッジまで一貫性のあるオペレーションが可能だ」と、VMwareとの協業をアピールした。
加えてDell氏は、2019年に発表した「Progress Made Real 2030」イニシアティブにも触れた。技術の力で社会課題を解決するもので、その1つに「10億人の生活を変える」というのがある。最近の取り組み例として、米国オハイオ州シンシナティ小児病院に200万ドル相当のIT機器を寄贈し、デジタルエクスペリエンスセンターラボを開設したという。MRI装置やCTスキャンのデータから重要な情報をインテリジェントに抽出し、それをバーチャルスペースにおいてモデリングするなど、VR(仮想現実)を用いたソリューションを用意する。これにより、これまでは不可能だった治療や手術が可能になったという。
「テクノロジーは世の中のためになる。データが燃料となることで、もっと明るく、健康的で、公平な将来が開ける」と、Dell氏は技術の力を強調した。