非kintoneユーザーでも登録済みの情報を編集したい
WordPressとkintoneの連携は非常に便利ですし、連携プラグインが無料で使えるのは非常にありがたいことです。しかし、導入したシステムを育てていくとさらなる要望や要件が出てくることでしょう。例えば、「登録した情報をkintoneのアカウントを持たない“非kintoneユーザー”が編集できるようにしたい」という要望が予想されます。ここで言う非kintoneユーザーとは、応募者です。事前に面談日程を押さえてもらい、必要情報は後日にデータ登録してもらうシーンもあるかもしれません。上記WordPress×kintoneの仕組みの場合は登録後のレコード編集ができないので、以降はメールでやりとりせざるを得ません。
しかし、応募者だけがログインできるような、いわゆる「マイページ」機能があれば、さらに便利に活用できそうです。早速実装してみましょう。
ここでは、kintoneの連携サービスである「フォームブリッジ」と「kViewer」を併用します。

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設定を加えれば、カレンダーに表示された空き枠から日付を選択して予約や申込ができるようにもなり、マイページ機能を持たせることもできます。
フォームブリッジだけでも申し込みや問い合わせフォームは作成できますし、自動返信メールも設定できますが、これだけだとkintoneへの新規登録しかできず、後からの編集ができません。そこでkViewerで実現できるのが「Myページビュー」機能です。

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フォームブリッジとkViewerの連携で、フォームから登録した情報を後から編集できるようになります。つまり、一度登録したkintoneの情報を、kintoneにログインすることなく編集できるのです。このMyページビューは個々のURLに関してかなり複雑なものが発行され、かつパスワードを個別URLごとに割り当てることもでき、より安全な環境でMyページを守ることができます。
また、例えば職種ごとに面談担当者が異なる場合は、kintone側に項目を用意しておき、応募者から申込情報が登録された時点で、該当の担当部署や担当者に通知が飛ぶ仕組みも構築できます。kintoneの標準機能である通知機能が有効に働きます。
また、別の連携サービスである「データコレクト」を活用すると、各日程の面談件数の上限を設定し、それに対して「現在の申込者数」や「残枠数」という情報を申し込みフォームに表示することもできます。
ここまで使いこなすことができれば、採用や問い合わせにおいては初期受付担当者の手間をほとんどなくせるのではないでしょうか。
もちろん、これらの活用シーンは採用や問い合わせだけではありません。ポイントは、kintoneのアカウントを持たない人でもkintoneレコードを更新できることにあります。例えば自社施設や備品を貸し出す際の申し込みフォームにもこの仕組みが使えますし、セミナーやインターンシップの申し込みにも使えるでしょう。他にもさまざまなシーンで活用できそうです。
連携サービスは使わず、標準機能だけでもどうにかできる
情報は共有したい、担当者の手間はとことんカットしたい。そしてすぐにここまで紹介した仕組みを実装したい――。と思っても、少し立ち止まってみましょう。kintoneにはさまざまな連携サービスやプラグインがありすぎると言っても過言ではありません。導入費用を改善想定の運用コストと常に天秤にかける必要があります。
kintoneの標準機能だけで応募や面談の管理をするパターンも必ずイメージしておきましょう。

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そもそもの目的は情報共有のレベルを上げて属人化をなくし、業務を誰でも円滑に進めていける仕組みの構築です。
例えば、応募や面談の申し込みが月間でもそれほど多くないなら、フォームを用意せずにメールや電話のメモからkintoneへの転記で済ませてもさほど手間にならないこともあるわけです。この場合はkintoneに器となるアプリだけ作っておいて、申し込みごとに手動登録、ExcelやCSVインポートでkintoneに登録することで情報の共有はバッチリということも充分にあり得ます。
kintoneに登録さえしておけば、チーム内や部署内での共有は容易です。仮に主担当でない誰かが修正を加えたとしても、誰が、いつ、どこを、どのように修正したか、全て記録が残るのもkintoneの強みです。さらにコメント欄も活用すればメモや伝言を逃しません。そしてこれらの修正や情報登録は通知を飛ばせますから、kintoneユーザならどこでもリアルタイムで確認できます。
すごいシステムを作ることが業務改善ではない
今回は下記3パターンをご紹介しました。
- kintoneとWordPressの連携
- kintoneとフォームブリッジ/kViewer/データコレクトの連携
- kintoneの標準機能だけで実装
kintoneは大きな可能性を秘めており、さまざまなことができます。しかし「すごいシステムを作ること」が目的ではないはずです。現状分析と目標設定を明確にした上で、どういった構成のシステムが最も効果の高い業務改善につながるかをよく検討してみましょう。
その上で今回のような応用を効かせやすいシステムを展開できれば、業務改善は大きく前進することでしょう。
(第8回は5月下旬にて掲載予定)

- 峠 健太郎(とうげ けんたろう)
- MOVED シニアマネージャー
- rebootbiz代表
- 富士通システムズ・ウエスト(現:富士通)を経て京都府の急性期病院に転職。2019年にMOVEDにジョインして病院との複業を開始。2020年7月から現職専業に。業務の仕組みだけでなくスタッフの働き方まで焦点を当てた業務改善を働き方デザインとして全国の企業成長をサポートしている。