アイ・ティ・アール(ITR)は5月11日、国内のメール誤送信防止市場予測を発表した。2020年11月からの“PPAP”廃止を受け、添付ファイルのウェブダウンロード搭載ニーズが向上。2020年度の売上金額を10.1%増の41億6000万円と予測している。
2019年度の売上金額は前年度比18.5%増の37億8000万円。企業のクラウドシフトの加速、クラウドメールへの移行に伴う新規案件の増加で好調に推移したという。
国内では、メール誤送信防止対策として、添付ファイルを自動的にZIP暗号化して送信後、別メールでパスワードを送信するPPAP(Pre send Password file After send Password)方式が一般化している。
一方で、PPAP方式は添付ファイルが暗号化されているために中身をウイルスチェックできない、同じ経路で暗号化ファイルとパスワードを送信した際の盗聴の危険性があるなど、セキュリティ上の課題があるという。
2020年11月からの内閣府、内閣官房でのPPAP廃止という動きもあり、添付ファイルのZIP暗号化機能に加えて添付ファイルのウェブダウンロード機能のニーズが向上。新機能として追加する製品、サービスが増えているという。
新型コロナウイルス感染症の流行に伴うテレワーク環境下でのセキュリティ対策としての重要度も増しており、2020年度の売上金額を10.1%増の41億6000万円、2019~2024年度の年平均成長率(Compound Annual Growth Rate:CAGR)を6.9%と予測している。
ITRのコンサルティングフェローの藤俊満氏は、「電子メールの誤送信はヒューマンエラーであるため、必ず一定頻度で発生する。しかし、電子メールは、企業ビジネスにおいて重要なインフラの一つとなっており、いかにこの発生頻度を下げ、被害を最小限に食い止めるかが重要な課題となっている。
これまで利用されてきたPPAPにはパスワードを盗み見されるリスクがあり、誤送信対策製品、サービスは今後、ファイル権限管理(Information Rights Management:IRM)機能の統合で送信後でもアクセス権限管理ができるようになり、セキュアな環境構築のための強力なソリューションになっていく」とコメントしている。
※クリックすると拡大画像が見られます