その理由としてQlik 最高データ責任者 Joe DosSantos(ジョー・ドスサントス)氏は「日本企業がデータ分析を怠っているのではない。部門単位で実施しているため調査結果に現れないのだろう。多くの小売業は素晴らしいウェブサイトを運営して、製造業はサプライチェーンを整備し、金融業はリスク管理、与信管理に(データを)活用している。だが、各部門で生成されたデータを集約して、顧客や組織の全体を把握するレベルに至っていない」と解説した。
Qlik 最高データ責任者 Joe DosSantos氏
日本企業がデータを活用できない理由としてQlikは、2020年に行った自社調査データを提示した。たとえばデータ分析計画を達成できない理由を見ると、「データの質が十分ではない(40%)」「分析に必要なデータがタイムリーに得られない(35%)」「分析の不備(30%)」といった回答が並ぶ。
この状況を打開する課題としては、「分析用データまたはサポートデータの検索(52%)」「調査中の問題に適切な分析(49%) 」「分析を行うための適切なテクノロジー(49%)」といった意見が多く、データ分析基盤の重要性を強調する企業が少なくないことが分かる。
最高データ責任者が担うべき役割としてQlikは、(1)バリューエンジニアリング(業務の重み付け)、(2)分析プロセスの標準化、(3)シェアードサービスの明確化――という3要素が欠かせないという。
(1)の“バリューエンジニアリング”は、ビジネスを成功させる要因を把握し、要因に影響を与える過程と改善に結び付けるために必要な分析を関連付ける。その上で重要性と実現可能性の観点から、改善の優先順位を決定する活動である。
(2)の“分析プロセスの標準化”は、各部門共通のデータと分析用ポッドをアジャイル開発と同じ手法で開発して、DataOps+アジャイルの採用によるビジネス課題を早期する解決する活動だ。(3)の“シェアードサービス”の明確化は、間接部門のサービス共有を目的に、定義データへのアクセス制御可能な標準的データプラットフォームの構築を通じてバックエンド業務を一元化する活動を指す。
「正しいターゲット、プロセス、ストラクチャーを当てて、組織に対しても適切なデータを提供する。また、データに対する理解度を深めていくことが重要だ」(DosSantos氏)
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