なぜ、今も使っているのだろう?
世の中、電話や家電、自動車がどんどん新しいものに進歩しているのと同じように情報システム機器やソフトウェアも進化とトレンドがあり、どんどん新しいものが出てきている。その一方でなぜIBM iを使い続けているのであろうか?
実は、前項で3つのメリットを整理したが、第4のメリットがあるのである。
Windowsをお使いの方も多いと思うが、「Windows 95」時代に使用していたソフトウェアを「Windows 10」でそのまま利用できないことはご存知だと思う。これはWindowsに限ったことでなく、ハードウェアの新製品化、Windowsのようなオペレーティングシステムのバージョンアップなどにより、利用していたソフトウェアをそのまま利用できなくなるのは一般的である。コスト面から考えるとデメリットだが、新しい要件を取り入れたシステムに作り替える、機能が豊富なソフトウェアにグレードアップするなど、同じコストをかけるならより進歩したものに変えていく良い機会になっている。
一方、IBM iはOSのアップグレード、ハードウェアの更新において、アプリケーションをそのまま旧システムから新システムに移行できる。30年以上前のアプリケーションがそのまま利用できるのである。
開発、運用環境もそのまま利用できるので、新卒で情報システムに配属されて定年退職まで、変わらない技術と運用ノウハウでシステムを維持することが可能なのである。
業務システムにおいては、社内の会計や管理系のような時代変化の少ないものが多々存在する。こういったIBM i上の業務システムは長年変わらずそのまま利用されていることが多い。変化の少ないものへの新たな投資に消極的になるとともに、IBM iの場合、長年手間がかからず安定稼働するために使い続けるユーザーが多いのである。
「IBM iはAS/400と違う」ことも知っておこう
ここまでの話で「古いまま、ずっと使っているのだな」と印象をお持ちになったかもしれないが、これはユーザーが作成したプログラムなどのアプリケーションの話である。ハードウェアやオペレーティングシステムは進歩しているため、IBM iはAS/400以前とは違うものである。
次回は、「問題を切り分けよう--IBM i 継続利用してはいけないの?」と題し、この続きとして、IBM iの実体と古い変えた方が良いものの正体を更にわかりやすく、かつ詳しく解説する。
(第2回は●月●旬にて掲載予定)
- 阿野 幸裕(あの ゆきひろ)
- ジーアールソリューションズ
- モダナイゼーション事業部長
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大学卒業後、トーメン情報システムズで、IBMメインフレーム、ミッドレンジコンピューター、UNIXなどのシステム開発を経験後、1995年よりSybaseやSASなどの外資系ソフトベンダーにてプリセールスエンジニアとして従事。
2020年4月から、その経験を生かし、ジーアールソリューションズに入社。以来、同社が独占販売権を持つカナダFresche solution社の製品を中核としたモダナイゼーション事業に参画している。