富士通と武田薬品ら、卵巣がん患者の「ペイシェントジャーニー」可視化に向けた研究開始

大場みのり (編集部)

2021-05-17 16:11

 富士通と武田薬品工業(武田薬品)は国立がん研究センターと共同で、卵巣がん患者が経験するペイシェントジャーニー(疾患の認識から診断、治療、その後の生活までの道のり)の分析/可視化に関して共同研究契約を締結した。富士通と武田薬品が5月17日に発表した。

 同研究では、臨床の課題を抽出し、卵巣がんにおける個別化治療と治療結果を向上させることを目的としている。国立がん研究センター東病院が保有する電子カルテシステムから抽出した日々の診療や個人の健康管理などから得られる「リアルワールドデータ」を用いて、卵巣がん患者のペイシェントジャーニーに関する情報を分析/可視化する。同研究は、国立がん研究センター東病院と先端医療開発センターにおいて、2022年4月30日まで実施する。

 対象のデータは、2013年5月~2020年10月の間に国立がん研究センター東病院の電子カルテシステムに蓄積された卵巣がん患者約700人の診療データや医事会計システム内の診療報酬データ。リアルワールドデータを匿名化し、ITで分析/可視化することで、卵巣がん患者を取り巻く実臨床上の課題を抽出する。

 同研究では、富士通が現在開発中の医療データを安全に活用するためのプラットフォームなど、ITを用いた診療データの分析支援、武田薬品がペイシェントジャーニーの分析に用いるデータの選定と分析計画の立案を担当する。国立がん研究センターは、ペイシェントジャーニーの分析に必要な匿名化された診療データと医学的知見を提供する。

 富士通は今後、同研究の成果を基に、異なる疾患においても同様の取り組みを重ね、リアルワールドデータの安全な活用環境を整えていく。武田薬品は、今後進展が予想される個別化医療において満たされていないニーズを捉え、バリューベースヘルスケア(医療行為において患者の価値基準を重視する考え方)の実現に向けたソリューション開発にもつなげていく。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

  5. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]