同社は「実稼動数が9日間で更新件数は9548件(SQLクエリ数)。プロジェクトの検証から約0.5時間の短縮を確認した。1カ月(稼働20日)で見ると約10時間の(短縮)効果を見込んでいる」と効果を主張した。
同システムの企業名変換は自社の統合基幹業務システム(ERP)を構成する「Oracle Database」に格納したデータをクライアントPCからSQLクエリを発行して更新対象を抽出し、Pythonで出力した更新用SQLファイルを用いて手動更新している。住所変換は日本郵便から手動ダウンロードしたデータをVisual BasicとPythonで加工、生成したマスターCSVをOracle DBに登録する仕組みだ。
ポイントは変換や加工の処理にあり、「2バイト変換や文字列置換、(不要な)前後の空白文字削除といった箇所で、将来的に機械学習の利用を想定している」(担当者)
同社が提示したデータによれば、郵便番号情報はCSVファイルの手動ダウンロードとAPI経由の取得する2つの方法があるものの、「(APIは)住所文字列が長い場合やデータの欠落、ビルの階層でデータが異なるケースがある」と吐露しつつ、「残りの期間を使って1つずつ課題を解決したい」と担当者は同プロジェクトの進捗を説明した。

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工場のデジタルツイン化を目指す「SF Twin WAND」
組み込みソフトウェアやシステムエンジニアリングなどを事業とするヴィッツ(名古屋市中区、従業員数157人)は製造業の障害を解消して効率化を実現する「SF Twin WAND」プロジェクトに着手している。担当者は「仮想工場と現実の工場をつなぎ合わせ、生産ラインや動線の自動化、原料供給を最適化するアプリケーション」だと説明する。製造機器から得たデータや画像監視センサーのデータを、仮想工場に反映させる“デジタルツイン”を思い浮かべると分かりやすい。
工場の課題として、よく耳にする“稼働率”だが、ヴィッツの担当者は「端的に説明すると3人で回している(製造)ラインを2人に減らしたいが、計算するのが難しい。そこで、データを蓄積して最適な作業量を算出することを目指している」と述べた。
プロジェクトの進捗だが、SF Twinのプラットフォームとなる「SF Twin PF 1.0」と、設備の安全標準化とルールからの逸脱を予測する「Diagnosis and Risk Prediction」は完成。仮想工場を構築する「SF Twin SIL」は6割程度。IoTデータのトラッキングや仮想環境と現実世界を接続する「データ収集IoTブリッジ」は1割。群制御の「AI Refinement」は開発着手したばかり。