松岡功の一言もの申す

AWSジャパン長崎社長が説く「ハイブリッドクラウド」とは

松岡功

2021-05-20 10:53

 クラウドサービス市場をリードするAmazon Web Services(AWS)は、オンプレミスと共存する「ハイブリッドクラウド」についてどう考え、どのように対処しようとしているのか。それを確認する機会があったので、ここで取り上げたい。

「クラウドがオンプレミスを含めたあらゆる場所へ拡張」

 「これまではハイブリッドクラウドと言うと、『オンプレミスの拡張としてのクラウド』と捉えられてきたイメージがあるが、これからは『クラウドがオンプレミスを含めたあらゆる場所へ拡張していく』という形態に変わる」

 AWSジャパン 代表取締役社長の長崎忠雄氏は、同社が5月11〜12日に開催した自社イベント「AWS Summit Online 2021」の基調講演で「ハイブリッドクラウド」を話題に上げ、こう切り出した(関連記事)。

「ハイブリッドクラウド」について語るAWSジャパン 代表取締役社長の長崎忠雄氏
「ハイブリッドクラウド」について語るAWSジャパン 代表取締役社長の長崎忠雄氏

 クラウドサービスを提供するAWSはかねて、ハイブリッドクラウドについては「完全なクラウド移行への『通過点』」との見解を示してきた。この点については、長崎氏もこれまでさまざまな機会でぶれることなく説明を繰り返しており、3月に行われたAWSジャパンの事業戦略会見でも筆者が確認の質問をしたところ、同氏は「通過点という考え方に全く変わりはない」とキッパリ答えた。

 ただ、今回のイベントの基調講演では、ハイブリッドクラウドについて少し時間を割き、冒頭の発言に続いて次のように説明した。

 「ここに来てあらゆるワークロードがクラウド上で動くようになってきた。すると、その重力に引っ張られるように、今後はクラウド体験をあらゆる場所に拡張していく形態になるのではないかと考えている。そこにはクラウドかオンプレミスかという区別はもうない。既存のオンプレミスのシステムもクラウド上でそのまま使えるようになる」

AWSによるハイブリッドクラウドの考え方
AWSによるハイブリッドクラウドの考え方

 こう話した長崎氏は、クラウドをオンプレミスといかにシームレスに活用できるかについて、「低レイテンシー(低遅延)」「ローカルデータ処理」「データのホスト場所」「VMwareクラウド移行」「データセンター拡張」「エンタープライズクラウド移行」といった6つのワークロードについて、AWSが提供するサービスを交えながら次のように説明した。

クラウドをオンプレミスとシームレスに活用できるワークロードの例
クラウドをオンプレミスとシームレスに活用できるワークロードの例

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

  5. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]