Googleは米国時間5月18日、機械学習プロジェクトの構築、展開、管理を行うための、データサイエンティストや機械学習エンジニア向けのマネージドプラットフォームである「Vertex AI」の一般提供開始を発表した。この発表が行われたのは、2021年はオンラインで開催されている開発者向けカンファレンス「Google I/O」でのことだ。
Googleは機械学習関連の製品やサービスを数多く提供しており、それらの製品にはAmazon Web Services(AWS)の「SageMaker」をはじめとするプラットフォームと競合するものもあるが、同社は市場に出回っているツールには不十分なものが多いと主張している。
Google CloudのVertex AI担当ディレクターであるCraig Wiley氏は、米ZDNetの取材に対して、「クラウド事業者やプラットフォーム事業者は、顧客に大変な迷惑をかけてきた」と語った。「私たち事業者は、3~5年前頃にかけてこれらのプラットフォームをリリースし、トレーニングや予測のためのノートブックを提供して、『このノートブックでモデルを開発し、われわれが提供するトレーニングシステムでトレーニングして、われわれの予測サービスの本番環境に入れればそれで完成だ』と言ってきた。しかし、実際はそう簡単ではなかった」と同氏は言う。
しかもツールの性質上、大規模に利用するのは難しかった。
Wiley氏によれば、Google Cloudの場合、「『AutoML Vision』でモデルをトレーニングしても、私たちのスタックでは、同じデータセットを使って何か別のことをさせることはできなかった。それは私たちにとって大きな問題だった」という。同氏は、「『私はXYとZを気に入っているが、それを外部に開放して別のこともできるようにしたい』と訴えてくる顧客もいた」とも付け加えた。
Vertex AIの狙いは、こうした問題を解決して、スケーラブルなワークフローを実現可能にするとともに、本番環境でモデルの維持管理を行うためのMLOpsツールを提供することだ。また、モデルの構築とトレーニングにかかる時間も短縮できるとしている。このプラットフォームは、Google Cloudの各種機械学習関連サービスを、統一的な1つのUIとAPIに統合する。作業環境が1つになるため、モデルを実験の段階からトレンドの発見、予想の段階へと移行させることも簡単になる。