セールスフォース・ドットコムは5月20日、記者会見を開催。「Salesforce Industry 360」を解説した。「Salesforce Customer 360」上に構築したIndustry 360は米国本社が2020年10月下旬に発表し、既存の金融業向けやヘルスケア向けといった業種別ソリューションを包括している。
同社はSalesforce Industry Cloudで利用可能なSaaSとして、金融業向けの「Financial Services Cloud」、営業部門と業務部門の連携を図る「Manufacturing Cloud」、小売業向けの「Consumer Goods Cloud」を提供している。
2020年6月に買収を終えたVlocity製品を加えることで、顧客のユーザー体験を向上させる「Communications Cloud」、顧客接点の強化を図る「Media Cloud」、個人と法人の顧客にサービスを提供する「Energy & Utilities Cloud」を追加。ここへ新たに顧客ロイヤルティーを管理する「Loyalty Management」を追加した。
同社 常務執行役員 インダストリーズ トランスフォーメーション 事業本部 今井早苗氏は「(環境変化に追従する)企業にとって迅速な変革は喫緊の課題。顧客自身もヘルスケアや金融サービスに対して『オンラインで対応してもらえないのか』と考えている。最速かつ安心・安全で対応するには、Industry 360の選択が最大の近道」と主張した。

(左から)常務執行役員 インダストリーズ トランスフォーメーション 事業本部 今井早苗氏、インダストリーズ トランスフォーメーション 事業本部 小売消費財 シニアマネージャー 国本久成氏、マーケティング本部 プロダクトマネジメント シニアマネージャー 山下義憲氏
Loyalty Managementは同日から一般提供を開始。法人顧客を対象にした「B2B Loyalty Management」は一組織あたり年間4320万円、個人顧客を対象にした「B2C Loyalty Management」は一組織あたり年間5040万円で利用できる。
経済と感情の両面で顧客に接する
個人や法人も含めて顧客がブランドや商品・サービスに対して、信頼感や愛着を持つことを指す“顧客ロイヤルティー”の重要性は改めて述べるまでもない。
セールスフォース インダストリーズ トランスフォーメーション 事業本部 小売消費財 シニアマネージャー 国本久成氏は顧客ロイヤルティーについて、「ポイントや割引、クーポンといった経済的側面に依存する傾向が強い。本質的な顧客ロイヤルティーを獲得するには、一貫性やユーザー体験、パーソナライズ化といった感情も必要。特別な顧客として扱われていることを伝えるには、経済と感情の両面から顧客に接しなければならない」と指摘、Loyalty Managementの有用性を強調した。

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