ビジネスワークフローの省力化
共同作業する際に中間成果物をチームに共有してコメントをもらったり、組織やプロジェクト責任者の承認を得たりするなど、業務によってさまざまなビジネスワークフローがあります。これらのビジネスワークフローはあまり定型化されていないものもあれば、購買申請などのように厳格に決められているものもありますが、いずれにせよ生産性向上のためにアプリケーションを利用するケースが増えています。「Asana」や「Trello」、「Backlog」のようなタスク管理、「Salesforce」や「kintone」のような業務アプリケーションのプラットフォームなど、さまざまなアプリケーションがAPIを活用して連携しています。
これらの業務アプリケーションでは、提案書や見積書、仕様書といった各種ファイルを添付する機能をもともと搭載している場合が多いのですが、Dropboxと連携することでアップロード操作の手間を削減したり、最新版資料の参照、更新といった作業を効率化したりできます。効率化できる内容は数クリックずつの操作ではありますが、節約される時間は、まさに“ちりも積もれば”大きな違いになり、生産性に大きな差をつけることができます。
監査や異常検出への活用
Dropbox Businessにはアクティビティログ機能があり、ユーザーのログインや共有操作、ファイル編集などさまざまな操作の記録が残ります。管理者はこの記録をもとに監査したり、課題発生時の日時や原因の特定に役立てたりできます。
Dropboxだけを注目すれば良いケースもあるのですが、多くのインシデントは複数アプリケーション、またはOSやデバイスの状態と関連します。それらを横断的に検索、異常検出する方法が必要です。
たとえば「Alog」や「Splunk」といったログ管理、「Microsoft Cloud App Security」などのCASB(Cloud Access Security Broker)といった分野の製品がこの利用ケースに該当します。ログ管理ではAPIを通じてDropbox Businessからアクティビティを取得し、各ログ管理のデータベースに格納します。
これらの集積したデータをもとにした横断的な検索や分析結果のレポートとしての出力も可能です。CASB製品では短期間に複数の国を跨いでアクセスがあった場合での異常検出、組織のセキュリティーポリシーに適合しているかの照合、違反がある場合のセキュリティ、監査担当への報告などの業務を自動化できます。
APIで連携を強化することで省力化、自動化できるだけでなく、アプリケーションを横断的に統一した運用ポリシーを適用するなど、より信頼性の高いシステムが実現可能です。
次回は、プログラムを開発して利用する場合の事例と、開発する際の考え方などの注意すべきポイントを紹介します。
(第3回は6月中旬にて掲載予定)

- 岡崎 隆之
- Dropbox Japan アジア太平洋・日本地域統括ソリューション本部長
- サン・マイクロシステムズ、ACCESS、グリーを経てエンタープライズ分野からコンシューマー分野に渡る様々な分野でのエンジニアリングに従事。開発生産性や、チーム間の共同作業について様々な施策を実施し生産性向上に貢献。2015年からDropboxカスタマーサクセスチームに所属し、お客様の生産性向上に貢献している。