住友商事は、リユース蓄電池を活用した大型蓄電池事業の基幹システムに「Google Cloud」を導入し、3月から利用を開始した。SCSKが導入および運用をサポートする。
蓄電池は利用の仕方によって劣化が加速してしまうという課題がある。そこで住友商事は、蓄電池の劣化監視をいち早く手掛け、監視データの蓄積に取り組んできた。蓄積した監視データを複数の切り口で分析し、蓄電池事業を共同で運用するステークホルダーに共有するためには、データ活用基盤の整備が急務で、Google Cloudの活用が検討されていた。
利用イメージ
導入内容としては、まず、現行監視環境(蓄電池運用状況監視、蓄電池劣化監視)をGoogle Cloudへ短期間で移行した。さらにデータ分析基盤「BigQuery」を実装し、データ分析基盤をリアルタイムに見るビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Looker」を導入した。
Google Cloudへの移行は、システム全体構想策定、事前移行検証、および移行ツールを用いた移行作業が実施された。効果としては短期間での移行による作業コスト削減、専用ツールによる安全かつ効率的な移行が実現している。
BigQueryは膨大な蓄電池性能監視データに対して、費用対効果に優れ、ユーザーがデータ活用に集中できるデータ基盤・高性能分析基盤が整備できた。またLookerにより、社内だけでなく、社外のステークホルダーに対してもデータガバナンスを担保しつつ、データを開示できるようになった。また自社ビジネスを加速させるBI活用が実現したことで、関係者が分析データを共有し、活用できる環境が整備さ、蓄電池性能アップや需要向上に寄与する結果となった。
住友商事のゼロエミッション・ソリューション事業部は、再生エネルギー大量導入で生じる電力ネットワークの課題を見据え、「大規模蓄電池事業」基盤の構築を目指している。この事業の継続的な運営には、過去データの分析を基とした蓄電池の劣化予測が重要となるため、今回構築したデータ基盤は事業の成長に大きく貢献すると予測される。
SCSKは、過去データを用いた多様な分析にLookerの活用を支援すると同時に、BigQueryの機械学習機能を用いた予測分析手法の高度化を進めていく。