竹中工務店は、社内に点在している300年以上に及ぶデータを整理・可視化して、将来の建築物の設計・提案に活用しようとしている。
1610年創業の竹中工務店では、保有する建築物に関する資料を1700年までさかのぼることができ、これらの資料を電子化したデータベースを構築していた。しかしながら、 顧客に提供するソリューションが敷地の開発から建築物の企画・設計・施工・運用まで多岐にわたり、古い時代のデータも多いことから、その全体像の把握と整理に課題を抱えていた。それらの課題を解決し、データを可視化して設計業務に活用するため、データ分析基盤「Alteryx」を導入した。
社内データベースのクレンジング作業時間は、Alteryxを使用しない場合と比較して10分の1以下に削減でき、約30時間で作業を終えられるようになった。また、機械学習用の教師データの作成には、従来170時間を見込んでいたが、これもAlteryxの導入により約10時間で終了したという。
また、機械学習を自動化するプラットフォームとAlteryxをAPIで連携させることで、竣工物件の設計や施工に関わる情報を整理し、新たな設計案件では、これらの情報を建築物の仕様や性能の予測に活用している。SNSなどの外部データソースとも連携可能なため、建築予定地に暮らす人々の投稿内容から感情などを分析して、設計の提案に生かせるようになったという。今後は、建築物の電気・水道の使用量のデータ分析や、気候情報のデータを建物内の人にタイムリーに知らせるシステムなどのサービス開発につなげることが可能になったとする。
これまでプログラミングによって実行していたことを、Alteryxではコンポーネントの組み合わせで行えるようになり、ITの専門知識を必要とせず操作できるようになった。 また、Alteryxで作成したワークフローは、ロジックを簡単に把握でき、属人化することを防いでいる。