クラウドストレージ「Box」、ファイルセキュリティをラベルベースで強化

阿久津良和

2021-06-01 07:15

 Box Japanは5月28日、記者説明会を開催。自社のクラウドストレージである「Box」のセキュリティ&ガバナンス(法令遵守)の強化と、「Cisco Webex」との連携を実装したことをアピールした。

 Boxの採用企業数は7300社超(2020年8月1日時点)から9000社超(2021年5月1日時点)まで拡大。執行役員 マーケティング部 部長 三原茂氏は「自動車関連企業のジェイテクトや豊田中央研究所、豊田通商など大手企業での採用が増加している」と説明した。

 また、クラウドストレージの需要増について三原氏は、「『コミュニケーションとコラボレーション』。このキーワードを掲げる企業が増えている。脱PPAP(パスワード付き暗号化ファイルの送付)も情報共有の阻害要因に数えられるようになった。また、ペーパーレスや脱ファイルサーバーなどの動きも影響している」と、コロナ禍でクラウドシフトが加速していると説明した。

ラベルベースでセキュリティ強化

 新型コロナの世界的大流行で皮肉にも、国内でリモートワークが1つの標準的な働き方として定着しつつあるが、ガバナンスを利かせながら社内外の関係者と共同作業に取り組むのは難しい。仮に自社が契約したBox環境に不審者がアクセスした場合は情報漏えいにリスクにつながる。

 こうしたリスクに対してBoxはSMS(ショートメッセージングサービス)やTOTP(Time-based One-Time Password:時間に応じてワンタイムパスワードを計算する仕組み)の2段階認証、組織が選択したIDプロバイダーの選択に対応している。

(左から)Box Japan 執行役員 マーケティング部 部長 三原茂氏、同社マーケティング部 プロダクトマーケティング シニアマネージャー 竹内裕治氏
(左から)Box Japan 執行役員 マーケティング部 部長 三原茂氏、同社マーケティング部 プロダクトマーケティング シニアマネージャー 竹内裕治氏

 具体的にはOktaやOneLogin、Azure Active Directory(AAD)、Active Directory Federation Services(ADFS)、Google Cloudに対応。2020年4月からオプションとして提供している企業向けファイルセキュリティ管理ツール「Box Shield」は分類タグを付与することで共有ファイルへのアクセス権限を制御。今回、Box Shieldスマートアクセスを強化した。

 Box Japanはスマートアクセスの強化点として、ラベルベースのセキュリティ強化を目的に、Box Shieldと「Microsoft Information Protection」(MIP)ラベルの同期、コンテンツをスキャンした後に検出結果から自動分類する機能を加えたと説明する。ここでいうラベルとはダウンロードや公開共有リンクの可否、社外共有の有無といったフラグを指す。

 Box Japan マーケティング部 プロダクトマーケティング シニアマネージャー 竹内裕治氏は「コンテンツが継続的に増えると追従するのが難しく、人的ミスを起こしやすい。リスクを排除する観点からセキュリティアクションを自動適用する」のがラベルベースのセキュリティ対策だと説明した。

 前述したBox Shieldは独自のラベル機能を備えているが、MIPラベルを付与したファイルをBoxにアップロードするとラベルの同期処理が加わる。ラベル設定はファイル単独ではなくフォルダー単位での設定付与も可能だ。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

  5. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]