私たちは、さまざまな情報処理をしながら生活しています。たとえば、渋谷駅で待ち合わせをするとき、相手が東京の地理に慣れている人ならば、瞬時に待ち合わせ場所をイメージすることができます。これは、自分の頭の中にあるデータベースから渋谷駅というデータを抽出して、その内容を把握しているからです。
しかし、人は細かなデータまでは記憶していません。渋谷駅の場所はわかっていても、駅の所在地を番地まで知っている人はほとんどいないはずです。そのため、連絡を取る可能性がある人については「住所録」などを作り、調べたいときにいつでも調べられるようにしているわけです。
今は、スマートフォンに連絡先が登録されていて、電話番号なども意識せずに電話が掛けられますが、連絡先リストも立派なデータベースです。
このように、データベースは現代社会にとって不可欠な存在です。そこで、今回は、データベースの基本について解説していきたいと思います。
1.データとは?
私たちの身の回りにはたくさんの情報があります。書籍、テレビ、ラジオ、インターネットなど、さまざまなところから情報が入ってきます。その多くの情報の中から人は必要なものを取捨選択して頭の中に取り込んでいます。これらの活動は、データベースでいうデータの入力作業と同じです。
ただ、コンピューターのデータベースが人間の情報収集と違うのは、「データ」を扱うという点です。「情報」と「データ」の違いは何かというと、情報が、伝達するために加工されたものなのに対し、データは、情報の元となる事実であるということです。たとえば、気圧配置や風速などが「データ」でそれを元に判断した天気予報などが「情報」です。
もっとも、天気予報の情報も後の研究の材料として使われるような場合にはデータになり得ます。たとえば、客観的には「晴れ」だったのに、天気予報が「雨」だったというケースを集計し、予想が外れた原因はどこにあるのかを検討する場合、その天気予報の判断も事実として、次の情報の元となるデータになるからです。
データベースで扱うデータも同じように、得たい情報の元となる事実ということになります。住所録でいうならば、「連絡先」という情報を得るために必要な「住所」や「電話番号」というデータが必要になるわけです。「情報」と「データ」は似ており、コンピューターの世界でも「情報処理」や「情報技術」といった使われ方もするので、曖昧なところはありますが、一応区別された概念です。
2.データベースとは?
複数のデータを一つに集約し、それを検索するなどで有効に活用するのがデータベースです。データベースの機能としては、Ⅰ:「データを保存すること」、Ⅱ:「データを検索すること」、Ⅲ:「データを整理すること」などがあります。
Ⅰ:データを保存することというのは、たとえば、商売をしている場合、日々売り上げが発生しますが、その都度「販売日」、「商品」、「価格」、「数量」、「販売先」などをデータとして記録するということです。
いつ、何がどれだけ売れたかという情報は、経営判断をする上でかかせませんし、税務申告をする上で記録を付けなければなりません。この記録をする作業をデータベースですることができます。
Ⅱ:データを検索することというのは、保存されたデータを検索できる機能です。純粋なデータベースではありませんが、「Yahoo」や「Google」などの検索サイトがイメージしやすいと思います。世界中に膨大な数のウェブサイトがありますが、キーワードを入力することで関連性の高いウェブサイトを見つけてくれます。インターネット上にあるサイト全体をデータベースと考えると、個々のウェブサイトが「レコード」で、それを検索することで必要な情報を得ることができます。データベースがなければ、多くのレコードの中から必要なものを探すことは困難なので、とても重要な機能です。
Ⅲ:データを整理することというのは、ランダムに入力された情報を一定の条件に従い整理して、表示する機能です。たとえば、「日付順」に入力したデータを「金額の多い順」に並べ替えたり、「五十音順」に並べ替えたりすることです。表計算ソフトでもできる機能ですが、データベースソフトであればより柔軟に整理して表示することができます。