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人材をいかに成長させるか--「kintone」で運用する目標管理と評価制度 - (page 3)

小林信也 (MOVED)

2021-06-09 07:15

 また、社員と評価者、それぞれが主体的に取り組んでもらうためには、それぞれがやるべきこと(責任と役割)を明確化することも必要です。

 経営者や人事部門などは、このふたつを念頭に置いて設計することが肝要です。これにより不満をゼロにすることはできなくとも、限りなくゼロに近づけることは可能です。「やってもやらなくても同じ」という悪平等、そして結果に対する無力感の排除もできます。

kintoneで目標管理と評価を運用する利点

 はっきり言ってしまうと、人を「正確に測る」ことはできません。そのため、どのような仕組みやシステムを入れても、不満が消えることはありません。つまりそれは、人事評価の仕組みやツールに「これだ!」という決定的なものが存在していないということでもあります。

 最近では多くの人事専門システム、サービスがありますが、うまく使いこなせる企業は残念ながら多くありません。なぜかというと、そういった専門システム、サービスは、そのシステム、サービスが定めるやり方に完全に従わなければならないため、企業ごとのさまざまな細則には適応できないからです。

 日本の多くの企業は、海外、とくにアメリカなどのように組織運営に共通する型があるわけではなく、独自の制度設計、運営方法を持つところが非常に多いというのが、専門システムに合わないという原因なのです。

 また、多くの経営者や人事部門が目標管理、評価制度に不慣れなことが多く、試行錯誤しながらの運用せざるを得ないことという実態も関係し、専門システムはなかなか広がりません。

 その中にあって、kintoneをすすめる理由は、システム構築の簡便さと柔軟さにあります。専門システムと違い、kintoneは自らがアプリケーションを構築していくことができます。そのため項目は好きなように設定できますし、運用を始めた後でも、容易の項目の追加や変更が簡単です。

 使う人次第でどんな仕組みも作れる柔軟さがあるため、目標管理、評価のアプリ以外にも経費精算やシフト管理などの労務系アプリを構築すれば、目標管理、評価のアプリと組み合わせたり、人員マスターなどの共通化をしたりすることが可能です。

 では、具体的にkintoneでどのようなアプリを作ればよいのでしょうか。

 目標管理、評価制度の運用でカギとなるのは、信頼関係、責任と役割の明確化、と書きました。それを踏まえて設計した例を図4に示します。

図4(出典:MOVED) 図4(出典:MOVED)
※クリックすると拡大画像が見られます

 個人目標は単体で存在はしません。個人の目標の前に、部門の目標があり、企業の目的があります。その関係性をきちんと示してあげることが、社員の目標に対する納得感につながります。

 おろそかにされがちなのは日報です。

 日報は、多くの企業でも行っている当たり前のものですが、非常に硬い文体で運用されている場合が多く見られます。そのため社員が負担を感じていることも少なくありません。

 先程も述べたとおり、人と人の信頼感は「どれだけ自分を見てくれているか」です。報告書の提出は「監視されている」と感じてしまい、むしろ信頼感は損なわれます。

 また、負担軽減を目的として、週報や月報にしているところもありますが、人間の記憶力はそれほど長く持ちません。それならば「誰でも毎日簡単に更新できる」形にした方が継続します。

 評価者は日報をチェックし、適切なレスポンスを行うことで、日報を通じたポジティブなコミュニケーションが成立します。

 日々のコミュニケーションを土台に、個人目標に対する定期的なフィードバックを行うことができれば、信頼感というのは自ずと作られていきます。

 経営陣や人事部門は、これらの仕組みが適切に運用されているかどうかを定期的にチェックし、日報へのレスやフィードバックが過剰でネガティブなコミュニケーションになっていないか、注意しなくてはなりません。また、日報自体がおろそかになっていたり、日報の内容が長期間ネガティブになっていたりする場合などにも注意し、適切に対応してくことが役割として求められます。

 kintoneであれば、それぞれのアプリの項目や機能は、自社のやり方に合わせて構築することができますし、運用途中での項目変更、余計だった部分の削除や機能の停止などを、柔軟に行うことができます。

まとめ

 今回の内容をまとめると、まず、目標管理、評価制度は、

  • 公平感のある処遇の決定
  • 社員の活躍と成長の推進
  • 組織文化の形成

の3つを目的としています。このために、

  • 社員と評価者(ひいては経営者)との信頼関係構築
  • 責任と役割の明確化

の2つの前提条件が必要です。また、

  • 信頼関係の構築には、日々のポジティブコミュニケーションが必須

となります。

 もしかしたら、目標管理、評価制度などの仕組みをいきなり始めてもうまくいく例は少ないのかもしれません。であれば、上記のような関係性を念頭におき、できるところから始めてみるのはどうでしょうか?

 kintoneであれば、今日、日報アプリをつくって明日から使うことも可能です。うまく行かなくとも日々の試行錯誤で柔軟に変えていけます。

 いかなる仕組みも続けていくことが重要です。もし、運用がうまく軌道にのり、さらに発展した仕組みを構築したい、たとえば労務管理や他の外部サービスとも連携したい、ということになった場合、kintoneであれば、APIやプラグインと呼ばれる機能を使って、外部サービスと連携することも可能です。

(第10回は6月下旬にて掲載予定)

小林 信也(こばやし しんや)
MOVED プロ雑用
kintonehive2019東京代表
MOVEDや観光系ベンチャーなどさまざまな企業で、ジャンル問わずあらゆるお困りごとを整理整頓している。働き方トレーナーとして、顧客のDXやセキュリティを含めた、ITを中心とした業務改善提案を担当。

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