ガートナー ジャパンは、日本企業のカスタマーエクスペリエンス(CX:顧客体験)に関する調査結果を発表した。2018~2020年の調査結果を比較すると、CXについて何らかの取り組みを進めている割合(進行中・稼働済み、検討中の合計)は増えているものの、コロナ禍によるビジネスへの影響があったにもかかわらず、CXプロジェクトの進展が遅いことが浮き彫りになった。
日本におけるCXプロジェクトの状況 (2018年〜2020年)
2020年11月に実施した調査では、「必要だが未検討/進展が遅い」と回答した割合が3割を超えた。また、「必要だが未検討/進展が遅い」の回答割合に「必要なし」「知らない/分からない」と回答した割合を含めると、全体の8割弱を占めている。
ガートナーでは、依然としてCXについて、「必要だが未検討/進展が遅い」や「知らない/分からない」と回答する企業も相当数残っているとし、CXの取り組みはビジネス上の差別化に目的があるため、これを積極的に進めている企業と、そうでない企業との間には大きな差が広がっていくことが懸念されるとした。
日本におけるCXの推進責任者
この調査では、CXに取り組んでいると回答した企業に、CXの推進責任者についても尋ねている。その結果、CXの取り組みを主体的に進めている役員としては、「営業担当役員」が31.7%で最も多く、次いで「役員やリーダーはいない」((20.4%)、「役員でない特定のリーダー」(14.0%)だった。
2019年の調査結果と比較すると、上位3項目の順位は同じだが、それらを合計した割合が2020年は減っているという。一方、「社長/経営者自身」(2019年の10.6%から2020年は13.4%)と、「CMO」(2019年の5.8%から2020年は11.3%)の割合は、前回調査時よりも増えている。
ガートナーでは、CXプロジェクトには多くの部門が関係するため、明確かつ強力なリーダーシップが求められるとした。逆にリーダーが不在のままでは、各部門から集まるプロジェクトメンバーがCXの目的を理解せず、適切な行動を取らないような状況となり、組織間の隙間を埋めることができないとしている。その上で、CXを担うアプリケーションリーダーには、関係者の誰もがCXの取り組みを「自分事」として積極的に取り組めるよう、適切なアプリケーションを導入し活用を推進することが求められる――とした。