ガートナー ジャパンは、日本企業におけるクラウドコンピューティングに関する2021年の調査結果を発表した。
これによると、日本におけるクラウドコンピューティングの利用率の平均は、2020年調査から4ポイント増の22%だった。この平均値は、単純にSaaS、PaaS、IaaSといった各クラウドの項目の利用率の合計を項目数で割ったもの。実際の利用率ではないため、あくまでもトレンドを見る際の参考値として捉える必要がある。
また、クラウドサービス別に見ると、2021年調査では、SaaSが2020年調査から8ポイント増の39%だった。
日本におけるクラウドコンピューティングの利用状況
同調査では、外部クラウドとオンプレミスのどちらにより多く投資すると考えているかを尋ねている。外部クラウドへの投資意向については、これから1~2年かけて外部クラウドの利用を増やすとの回答が、2021年調査では過去最高の55%に上った。併せて、オンプレミスへの投資意欲も拡大している。
クラウドに対する上司の理解度と課題
さらに、企業や組織がクラウドのスキルを身に付けるためにどの程度投資しているかについては、2021年調査において、「クラウドのスキルを重要と認識しており、積極投資している」という回答が、2020年調査から9ポイント増の34%に達した。
また、クラウドに対する上司の理解度については、「理解しておらず困っている」という回答が4割近くに上り、「理解しているとは言えない」という回答と合わせると、7割の企業では、マネジメント層の理解度の問題が生じている実態が浮き彫りになった。
ガートナーでは2021年に入り、「クラウドや人工知能(AI)のスキルを(IT部門を中心とする)管理職の評価基準に加えることについてどう思うか」という質問が複数の企業から寄せられているとし、これは「スキルの獲得は管理職には関係ない」とはもはや言っていられない状況を示唆していると指摘している。
このことを踏まえ、クラウドが当たり前になる時代においては、「クラウドは自分には分からない」という状態ではその役割が務まらないとし、I&O(Infrastructure & Operations)リーダーは、クラウドを自分で運転し、さらには駆使できるようにすべく、行動を加速させる必要があるとした。