ノークリサーチは、デジタルトランスフォーメーション(DX)やコロナ禍で求められる中堅中小企業のIT活用の実態を調査。年商500億円未満の全国の中堅中小企業が調査対象、経営層とITの導入や選定、運用に関係する立場に聞いた。6月15日に分析結果を発表した。
DXという用語は経産省が2018年に公表した「DXレポート」で認知が広まったが、同レポートの中で既存システムの維持に警鐘を鳴らした「2025年の崖」が注目を集めたこともあり、「DX=レガシー資産の刷新」という狭い解釈も同時に広まる結果となってしまったと指摘している。
それを受けて2020年末に公表された「DXレポート2」では企業文化の変革がDXの本質であり、それを推進する人材育成の重要性が述べられていると説明。また、コロナ禍の影響についても触れられており、一過性ではないビジネス環境の変化に対応していくことの必要性が指摘されている。IT企業に対しては、こうした変革や変化をユーザー企業とともに推進する共創パートナーとしての役割が求められていると提言している。
以下のグラフはDXやコロナ禍に伴うIT活用の取り組み状況を中堅中小企業に聞いたもの。このように概況を聞いた結果では「売上/利益の向上や業務効率改善を目的としたDXへの取り組み」や「継続的なコロナ禍への対応」が進んでいるかのように見える。
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だが、中堅中小企業では「RPA(ロボティックプロセスオートメーション)による自動化」などの新たな取り組みが一部に見られるものの、「DX=既存の業務システムをクラウドへ移行する」といった捉え方も少なくないと表現。コロナ禍の対応でも、ウェブ会議の導入が一巡した後の取り組みが見えていないと説明している。
このままでは「サーバーOSのサポート終了時にクラウドへ移行する」や「PC入れ替え時にVDI(仮想デスクトップ基盤)導入を検討する」といったように更新需要に依存したIT活用提案からの脱却が難しくなると懸念を示した。そのため、IT企業としては「DXやコロナ禍でユーザー企業が不可欠と考えるIT活用は何か」を理解し、それを提案してくことが重要となってくるという。中堅中小企業の規模は以下のように多岐にわたっている。
年商規模(円) | 層 | 従業員数の ボリュームゾーン |
---|---|---|
~ 5億 | 小規模企業 | ~ 20 |
5億~ 50億 | 中小企業 | 20 ~ 300 |
50億~100億 | 中堅下位企業 | 100~ 500 |
100億~300億 | 中堅中位企業 | 100~1000 |
300億~500億 | 中堅上位企業 | 500~ |
以下は「DXに伴うIT活用の取り組み状況」のうち「売上/利益を向上させるために取り組んでいる」と「業務効率を改善するために取り組んでいる」の回答割合を上記の年商区分別に集計。年商規模によって、DXへの取り組みに大きな差があるとしている。