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「FileMaker」とは--プログラミングの知識がなくてもシステムを構築 - (page 2)

伊達諒

2021-06-30 07:00

システム開発のトレンドの変化

 冒頭でも述べたとおり、従来システム導入には非常に高いコストがかかり、導入できるのはそこまでのIT投資が可能な企業に限られていました。また、システム開発に掛かる時間も計画から導入まで年単位で掛かる場合もあるため、「システムが完成した時には既に使い物にならない」などということもあります。

 主なシステムの開発手法に、(1)ウォーターフォール型、(2)プロトタイピング型、(3)アジャイル型、(4)スパイラル型の4つがありますが、今回は、代表的なウォーターフォール型とアジャイル型について説明します。

ウォーターフォール型開発

 最も一般的な開発手法で、従来型のシステム開発と言えます。今でも大企業などを中心に大規模システムでよく使われています。文字どおり、滝のように上から下へ順に処理していくやり方です。(図3

図3 図3
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 1:要件定義(企画)、2:基本設計、3:実装(開発)、4:テスト、という流れで開発します。全ての機能を一度で開発するため、業務の洗い出しから始まり、依頼企業と開発会社との打ち合わせを何度も行い、企画ができあがります。それをもとに基本設計を行い、依頼企業と開発会社が内容を確認しながら実装(開発)します。テストとして動かしてみてエラーが出たらそれを修正するという作業を行い、完成ということになります。1つの工程に数カ月かかることから、システム完成に年単位の時間がかかるわけです。

 時間がかかるという点はデメリットですが、失敗が許されない業務においては、「問題点があれば修正すればよい」というわけにはいかないため、未だこの開発手法が採られています。

アジャイル開発

 アジャイル開発では、1:要件定義(企画)、2:基本設計、3:実装、4:テストという工程を機能ごとに分割し、できるところから開発していきます。そして、開発後もそれで終わりではなく、実際に動かして得られた情報や不具合をフィードバックして開発を反復して繰り返します。(図4

図4 図4
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 ウォーターフォール型が理想型のシステムを作るイメージなのに対し、アジャイル型は機能単位の小さなサイクルでリリースするイメージです。だから開発のスピードが速いという特徴があります。

 ウォーターフォール型は、いろいろなことを想定して過剰な機能を付けることが多いので、使われない機能も結構あります。家電などでも多くの機能が付いており、ほとんどの人は一部しか使っていないと思いますが、それと似ています。

 使われない機能のために多くの時間やコストが割かれるのは無駄なので、できるところから完成させていけばよいと考えるのがアジャイル型になります。システム開発に終わりというものはなく、日々社会は変化し、仕事の内容も変わります。それであれば、小さくてもまずは動く機能を作り、不便なところがあれば改善し、不足のところがあれば追加するなど柔軟な対応した方が合理的であるとアジャイル型は考えるわけです。最近は、このアジャイル型がシステム開発のトレンドになりつつあります。

アジャイル開発が得意--FileMakerでのシステム開発

 FileMakerは、アジャイル開発をするのに適しているソフトウェアです。プログラミングを必要とせず、メニューなどから選択するだけで、直感的にシステムが作れるからです。ごく簡単なシステムであれば、数日で作ることができます。

 また、修正をする場合もプログラムの書き換えが必要ないので、修正したいところを選択して、どのようにでも変更することができます。機能を追加したい場合には、いつでも追加することができますし、データを新たに取り込んで連結することもできます。

 システムというのは、使う人が使いやすいことが一番です。しかし、外部の開発会社に依頼する場合、実務に沿った業務内容を正確に伝えること自体が難しく、蓋を開けてみるとユーザーにとって使いにくいシステムになってしまった、ということが往々にしてあります。

 業務をしている人が自分に合うシステムを自分で作れれば、最強のものができます。その点、FileMakerは、プログラミングの知識が無くても業務で実際に利用する人が自ら使いやすいシステムを作ることができます。

開発したカスタムAppを共有

 FileMakerで作ったシステムとなるカスタムAppは、共有することができます。FileMaker のライセンスを契約すると、「FileMaker Server」または「FileMaker Cloud」で多人数が同時にシステムに接続し、共有が可能になります。「FileMaker Pro」というソフト単体の場合、テスト目的であれば5人まで共有できるので、まずは試してみてから、ライセンス契約するのも良いかもしれません。

 また、FileMaker ServerやFileMaker Cloudを利用することで、FileMakerで作成したデータベースを「Safari」や「Chrome」などのウェブブラウザ上に表示させることができます。FileMakerのソフトがインストールされていないPCでもウェブブラウザを使い、情報の閲覧、検索、更新などが可能です。

iPhoneやiPadで使うなら「FileMaker Go」

 FileMakerで作ったシステムは、「FileMaker Go」という無償のアプリをダウンロードすることで、iPhoneやiPadでも利用することができます。検索や閲覧はもちろん、データの入力もできます。外出先で情報を見たい、あるいは空き時間にデータを入力しておきたいという場合に非常に便利です。また、iPhoneやiPadのカメラ機能を使い、撮影した写真を保存したりバーコードの情報を読み取ったりもできるので、在庫管理などを素早く確実に行うことが可能です。

 このように、FileMakerは、低コストで簡単に導入できるソフトウェアでありながら、会社のシステムに外部からウェブでアクセスでき、また、iPhoneやiPadを使って利用することができるという優れた機能があります。

(第6回は7月上旬にて掲載予定)

伊達 諒(だて りょう)
日本銀行で金融機関の経営分析、厚生労働省で政策の調査業務、内閣府でSEを経て、フリーライターとなる。MBA、CFP、一級FP技能士の資格も有しており、金融、経済、IT、経営、会計、税、行政と幅広い分野での執筆活動をしている。これまで、大手メディアを中心に、500本以上の記事を執筆している。

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