本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、NECが提供するローコード開発プラットフォームを提供するサービス「Mendix」を取り上げる。
NECがローコード開発プラットフォームを新たに提供
NECは先頃、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速するローコード開発プラットフォームを提供するサービス「Mendix」の国内販売を開始すると発表した。MendixはSiemensの子会社でサービス名を企業名としているMendixが提供していることから、NECは日本での販売にあたってSiemensの日本法人であるシーメンスと提携した。
MendixとNECの開発技術やシステムインテグレーションの知見を集約したアセットおよび標準化技術を組み合わせることで、企業のITモダナイゼーションからDX、さらにはDX人材の育成を図ることができるという。
昨今、企業や官公庁ではDXを加速させ、社会環境の変化や多様化に基づくさまざまなニーズに迅速かつ柔軟に適応するシステムの開発を進めている。しかし、最新のITに精通した技術者の確保は難しく、容易かつ短期間で開発可能で、素早く利用者のニーズを反映できるアジャイル型の開発手法と、それを実現するシステム基盤が求められている。
それを実現するのが、「市民開発」と呼ばれる業務現場のエンドユーザーによるアプリケーション開発を可能にするノーコード/ローコードの開発プラットフォームだ。
とりわけ、今回NECが提供するローコード開発のMendixは、豊富なアプリケーション部品を活用した開発ライフサイクル全般をプラットフォームとして提供し、アプリケーションのモニタリングや継続的な開発を可能にする「BizDevOps」を実現するものである。
BizDevOpsとは、開発部門(Development)と運用部門(Operations)の連携するDevOpsに、ビジネス部門(Biz)を加えて3者の連携を強め、生産性を高めるという概念である。
NECではこのローコード開発プラットフォームや同社の知見を生かしたローコード/ノーコード開発の対応を強化し、企業のDXを加速させるレガシーシステムのモダナイゼーションを進めていく構えだ。
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Mendixはグローバルで1000社を超える導入実績を持ち、Gartnerから2年連続でリーダーとの評価を得ているローコード開発プラットフォームで、市民開発者がアプリケーション開発に参画可能な開発環境や、マルチクラウド、ハイブリッドITに適応した運用環境を提供する。(図1、図2)
また、NECはオープンシステム向けの業務システム開発基盤である「SystemDirector Enterprise」を2500以上のプロジェクトに展開し、顧客企業のシステム構築支援に取り組んできた。アジャイル開発についても、コンサルティング、導入支援、教育などの取り組みを進めている。
そして今回、NECのシステムインテグレーションの知見と、新たにMendixを組み合わせて提供することで、最小限のコーディングで素早く開発可能なローコード開発ベースのシステム基盤を実現するとしている。
加えて、企業や官公庁、それぞれの業種に最適化された画面テンプレートやデータモデル、簡便なデータ連携を可能にするコネクタなどさまざまなAPI部品群を事前にNECが用意。これにより、画面デザインの変更や機能拡張を日々行うことが可能な新しいシステム開発を実現するとともに、顧客企業のDX人材育成にも貢献していく考えだ。