DX推進で「市民開発」は非常に重要なキーワードに
以上が発表の概要だが、今回このサービスを取り上げたのは、今後、企業がDXを推進していく上で「市民開発」は非常に重要なキーワードになると考えるからだ。
改めて、市民開発とは、企業における業務部門のエンドユーザーがアプリケーション開発を行うことを指す。それを実現するテクノロジーが、ノーコード/ローコード開発ツールだ。開発環境であることから「プラットフォーム」と呼ばれることも少なくない。今回NECが提供するMendixはローコード開発プラットフォームで、グローバルでは「LCP」(ローコードプラットフォーム)と略して呼ばれている。
上記の発表概要と重複するところもあるが、ノーコード/ローコード開発ツールがここにきて注目されるようになった理由を改めて考えてみると、2つ挙げられよう。1つは、ITやデジタルに精通した技術者が今後不足するのが明らかなこと。もう1つは、業務をよく知るエンドユーザーが現場に必要なアプリケーションを開発できるようになれば、最前線での顧客対応を強化でき、DXを力強く推進できると考える企業が増えてきたことだ。
ガートナー ジャパンが先頃発表した「日本企業の市民開発に関する実態調査の結果」によると、業務部門の回答者の60%超が、エンドユーザーで開発したアプリケーションがあると回答し、市民開発の普及が進んでいる現状が明らかになった。(図3)
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60%超とは高い数値に感じるが、クラウドサービスの普及と同様に「どこか1箇所でも」となると、既に現場でのアプリケーション開発はそれなりに進んでいるのかもしれない。ただ、企業としてしっかりしたITガバナンスのもとでノーコード/ローコード開発プラットフォームが本格的に使われていくのはこれからだろう。
企業のDX推進に向けた市民開発のポテンシャルは、いろいろな意味で相当大きなものがあると考える。ITやデジタルの産業構造をも大きく変えていく可能性がある。今後の動向を大いに注目していきたい。