Amazon Web Services(AWS)の「Amazon S3」と互換性のあるクラウドストレージを提供する米Wasabi Technologiesは6月24日、アジア太平洋(APAC)地域での事業拡大に向けて、日本法人「Wasabiテクノロジーズジャパン」を設立した。代表執行役員社長には日本オラクル 通信事業統括本部事業統括本部長などを歴任した黒田和国氏が就任し、APAC地域事業副社長も兼務する。
WasabiテクノロジーズジャパンはAPACの本社機能を担い、Wasabi Technologiesが事業を展開する日本、韓国、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランドといった市場の中核拠点となる。
APAC地域事業副社長 兼 Wasabiテクノロジーズジャパン 代表執行役員社長の黒田和国氏(出典:Wasabi Technologies)
Wasabi Technologiesは2015年に設立され、顧客数は2万5000社以上に上る。黒田氏は記者会見で、社名の由来について「ストレージには、低価格だがデータの取り出しに時間がかかる『コールド(Cold)』と、取り出しは早いが高価格な『ホット(Hot)』がある。“Hot”には『辛い』という意味もあり、辛いものの象徴であるワサビから、Wasabi Technologiesと名付けられた。われわれのホットストレージは、低価格も実現している」と説明した。
黒田氏はサービスの特徴として、「低価格」や「高い安全性」などを挙げる。同社のクラウドストレージの月額料金は1TB(テラバイト)当たり6.99ドルで、Amazon S3より80%安いという。Egress出力とAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)リクエストのデータ転送も無償で行う。
安全性に関しては、データセンターの冗長化による安全設計を行っているほか、99.999999999%のデータ耐久性を実現し、AWSのクラウドサービスと同等だとしている。無料のオプションとして、監視カメラの動画などを証拠物として残すために、一定期間削除や変更ができないようにする「不変ストレージ」も提供している。
Wasabi Technologiesでは、世界で6つのデータセンターでクラウドストレージを運用している。APAC本社の設立に当たり、都内にあるNTTコミュニケーションズのデータセンターを採用し、今後6カ月で大規模な拡張を予定している。