ポストモダンERPにおいては、従来のERPと異なり、アドオン開発によって複雑化、肥大化させることなく、多様なクラウドベースのポイントソリューションをビジネスモデルに応じて選択することで、運用コストを抑えるだけではなく、変化するビジネスモデルにも柔軟に対応することができる。
また、疎結合により別のアーキテクチャを統合することがないため導入もしやすい。様々なデータを取り込み、機械学習等で分析することで、社内全体のデータを基にビジネスを成長させることも可能になるだろう。
そのための中心基盤となるERPには、コアとなる業務の最低限の機能が備わり、かつ疎結合アーキテクチャと共通のユーザーエクスペリエンス(UX)標準を採用していることが不可欠だ。ERPの未来は、疎結合でありながら接続された異種アプリケーションのネットワークの一部になることである。
今後はさらに、AIやデータ分析の進化、各種クラウドサービスとの連携など、今まで以上にデジタルテクノロジーの活用が求められるだろう。企業は、今こそDXを推進するという新しい企業像を目指すためにERPがどうあるべきか再考する時代を迎えている。
後編では、DXの重要な要素である差別化と自動化、DXの推進においてビジネスプロセスを整理するための「60:30:10」フレームワークについて解説する。
- 石田雅久(いしだ・まさひさ)
- インフォアジャパン 執行役員 ソリューションコンサルティング本部 本部長
- 外資系コンサルティングファーム、外資系ソフトウエアベンダーにて25年以上、統合基幹業務システム(ERP)やサプライチェーン管理システム(SCM)、ビジネスインテリジェンス(BI)を中心としたシステム化の提案、導入に従事。インフォアジャパンではソリューションコンサルティング本部長としてインフォアのソリューションの活用提案、導入中・導入後のお客さまへのアドバイザーとしての活動を実施。米国公認会計士