「住所録」を作成してみよう--「FileMaker」無料評価版の入手方法 - (page 2)

伊達諒

2021-07-07 07:00

テーブルの構成を検討

 表示したい内容や機能が決まり、必要なデータが確定したら、次はテーブルの構成を考えます。第4回で表計算ソフトとデータベースソフトの違いなどを説明しましたが、データベースソフトの優れたところは、テーブル間のデータを連携できるリレーショナルデータベース(RDB)にあります。

 たとえば、取引履歴をデータベースで管理する場合、購入者、商品名などは何度も入力しなければなりませんが、「取引先名簿」や「商品リスト」をあらかじめ別のテーブルで作っておけば、取引履歴を入力する際は、連結するための「企業番号」や「商品番号」を入力するだけで済みます。参考までに、前回掲載した図を図2として再掲します。

図2 図2
※クリックすると拡大画像が見られます

 できるだけデータは重複しないようにするのがデータベースを構築する上で重要になります。このように、データを整理することを「正規化」と言います。

カスタムAppの作成開始

 必要なデータとテーブルの構成が決まったら、カスタムAppの作成を開始します。システム開発会社であれば、この段階でシステムエンジニアからプログラマーなどに作成を依頼しますが、FileMakerの場合、企画者自らが作ることが多いので、FileMakerを起動して作成に取りかかることになります。

 FileMakerでの具体的なカスタムAppの作成方法は、次回から本格的に説明しますが、作成の順番だけ簡単に説明しておきます。

(1) FileMakerでの新規ファイルの作成

 まずは、全ての入れ物となるファイルを作成します。このファイルの中に、テーブルやフィールドレイアウトやデータなどが保存されることになります。FileMakerのファイルの拡張子は「.fmp12」です。

(2) テーブルの作成

 表計算ソフトでいう「ワークシート」にあたるテーブルを作成します。例えば、顧客の住所や氏名などの属性は「顧客情報テーブル」、商品の購入履歴は「購入履歴テーブル」のように、データの種類ごとに分けて作ります。関連するフィールドをまとめて置いておく箱のようなイメージです。

(3) フィールドの作成

 必要なデータを格納するためにフィールドを作成します。表計算ソフトの「セル」は何もしなくてもデータを入力できますが、フィールドは作成しないと何も入力できません。フィールドの作成は、「データを入れる入れ物を作る」とイメージすると理解しやすいと思います。

(4) レイアウトの作成

 フィールドを作成したら、次はレイアウトを作成します。レイアウトの作成とは、データを表示する形式を作ることです。フォーム形式、リスト形式、表形式のどれで表示するのか、データの表示順をどうするかなどを考えます。その上で、どのような見た目にするかを考えて、フィールドを画面に配置していきます。

(5) データの入力

 フィールドを作成して、レイアウトができあがれば、後はデータを入力すれば一応カスタムAppは完成します。データの入力は、「新規レコード」という形で1件ずつ入力する方法と、既に表計算ソフトなどでまとめられたデータがある場合には、一気に取り込む方法があります。

FileMaker 無料評価版の入手

 FileMakerは、45日間無料で使える評価版のソフトウェアをダウンロードできます。

 「無料評価版を試す」というボタンをクリックすると次の画面で「Mac」「Windows」いずれかのOSの種類を選択できます。

 以降の本連載で、カスタムAppの作り方について解説していく予定です。あまり早くインストールしてしまうと、解説を読み終える前に45日間が経過してしまい、カスタムApp作成の体験ができずに終わってしまう可能性があります。 購入を決めている方については、すぐにでもインストールして頂いて構いませんが、購入するかどうかを試してから決めたいという場合には、連載がある程度進んでから「無料評価版」をインストールすることをお勧めします。

(第7回は7月中旬にて掲載予定)

伊達 諒(だて りょう)
日本銀行で金融機関の経営分析、厚生労働省で政策の調査業務、内閣府でSEを経て、フリーライターとなる。MBA、CFP、一級FP技能士の資格も有しており、金融、経済、IT、経営、会計、税、行政と幅広い分野での執筆活動をしている。これまで、大手メディアを中心に、500本以上の記事を執筆している。

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