業務が集中する人、減った人--コロナ禍で従業員の二極分化進む - (page 3)

阿久津良和

2021-07-01 06:45

 自宅勤務は生活をともにする家族への配慮など、肉体的や精神的な負担が軽くない。同じくハイパフォーマー/ローパフォーマーの軸で調査結果を見ると、身体的な疲労感の増加は29%/36%、疲労感の減少は30%/37%。精神的な疲労感の増加は46%/58%、疲労感の減少は18%/13%。家事などの役割負担が増したのは35%/34%、軽減したのは3%/3%。組織の従業員に対する配慮が向上したのは32%/23%、低下したのは11%/23%。

 これらの調査結果について市川氏は、個人的推測であると前置きしながら、以下のように分析した。

 「(身体的疲労は)運動不足を感じる機会が増加し、(精神的疲労は)コロナワクチンや五輪開催などが影響している。ただ、精神的負担の増加はローパフォーマーが多く、コロナ禍で仕事やコミュニケーション機会の減少がフラストレーションにつながっているのでは。組織内の孤立は生産性減少や、健康への悪影響、周りへの攻撃につながる。企業としては看破できない」

 従業員エンゲージメントは一般的な調査と同等に、ハイパフォーマーや高い役職の従業員が肯定的に見る傾向が見られた一方で、ローパフォーマーは否定的な評価が45%と突出している。“組織から人”を重視した経営を目指す企業は少なくないが、今回の調査でも従業員の声を重視する割合は51%を超えた。

 だが、「企業が声に基づいたアクションを実行しているか」との質問に肯定的な意見を寄せたのは4分の1となる25%。50%は中立的意見で、25%が否定的な声を寄せている。

 市川氏は「2021年も継続してエンプロイサーベイ(従業員調査)の需要は高いものの、(今回の調査結果が示したように改善)アクションを選択する企業が多くない」と述べながら、冒頭で紹介した4つの項目を重視するべきだと訴えた。

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