AT&Tは数年前からMicrosoftと協力し、AT&Tの5G(第5世代移動体システム)のワークロードを「Microsoft Azure」上に移行するための評価を実施してきた。そして両社は、Microsoftの2021会計年度の末日に当たる米国時間6月30日、MicrosoftがAT&Tの通信事業者グレードの「Network Cloud」プラットフォームテクノロジーを獲得するという新たな提携を発表した。
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これは、Microsoftはモバイル事業者になることを意味するのだろうか。そうではなさそうだ。AT&Tが通信事業から撤退するわけでもない。
AT&Tは、2018年からNetwork Cloudプラットフォームを用いて同社の5Gテクノロジーを稼働させている。MicrosoftはこのNetwork Cloudプラットフォーム、具体的にはその知的財産(IP)とテクノロジー上の専門性を獲得し、同社の通信事業者向け製品「Azure for Operators」で活用する計画だという。
Microsoftは「この動きは、現実世界における5Gの本番ワークロードをAzure for Operatorsにもたらすものだ」としている。また同社はAT&TのNetwork Cloudプラットフォームに携わるエンジニアリングチームに対してMicrosoftへの移籍を提案するという。
Microsoftは2020年、Azure for Operatorsの戦略について詳細を説明した。通信事業者にアピールするサービスだ。その際、同社は通信事業者となる意図はないと述べていた。また同社は2020年に、5G関連企業(Metaswitch NetworksとAffirmed Networks)の買収を発表し、通信事業者のAzure導入を強化できるようにしている。
通信事業は業界別市場でMicrosoftが鍵とする分野だ。これまでにAT&Tのほか、Vodafone、T-Mobile、Verizon Business、Deutsche Telekom、Telefonica、Telstra、NTTなどがMicrosoftの通信事業者パートナーや顧客となっている。
AT&Tは同日、自社の5GモバイルネットワークをMicrosoftのクラウドへと移行すると発表した。これにより、同ネットワークのトラフィック全てがAzureテクノロジーによって管理されるようになるという。最初の移行対象は、モバイルユーザーとIoTデバイスをインターネットやその他のサービスによって接続するAT&Tの5Gコアになる予定だとされている。
MicrosoftとAT&Tは2019年に、AT&Tの5GネットワークとエッジネットワークにAzureのテクノロジーを組み入れることで、AT&Tの仮想化された5GコアであるNetwork CloudでAzureのサービスを顧客に提供できるようになると発表していた。今回の発表は2019年の提携を進展させたものとなる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。