クアルトリクスは6月30日、同社が実施した「コロナ禍における働き方の実態調査」の結果を発表した。同日の説明会に登壇したEX(従業員体験)ソリューションストラテジーディレクターの市川幹人氏は、「リモートワークにおける業務量や企業への帰属意識、精神的な疲労感は、個人の業績によって異なる傾向がある」とした。
同調査は4月22〜26日、市場調査などを行うインテージのアンケートモニターを対象にオンラインで実施した。有効回答は3405人で、そのうちリモートワークをしているのは1000人だった。設問の設計では、企業の労働安全衛生管理を支援する「さんぎょうい」の協力も得ている。
EXソリューションストラテジーディレクターの市川幹人氏
クアルトリクスは、コロナ禍が収束した後もオフィス勤務とリモートワークのハイブリッド型が定着すると予想している。同調査では、リモートワークをしている人々の約9割は現状以上にリモートで仕事をすることを希望しており、完全に出勤している人々も3割以上がリモートワークを希望していると分かった。
リモートワークは「場所と時間を選ばない」というメリットがあるが、従業員エンゲージメントにネガティブな影響を与える可能性もあるという。市川氏はリモートワークの特徴として、「各従業員がバラバラに業務を遂行する」「ちょっとした会話や相談がしにくい」「各自の事情で業務環境が異なる」といったことを挙げる。その結果、業務の偏り、コミュニケーション不足/帰属意識の低下、個人の事情への配慮不足などが懸念され、従業員エンゲージメントの低下が危惧されるという。
同社は、リモートワークをしている回答者に対し、現在の個人業績に関する設問を用意した。そして、「自分の業績は職場の平均を超えている」と回答した人を「ハイパフォーマー」(375人)、「職場の平均を下回る」と答えた人を「ローパフォーマー」(91人)と分類した。
リモートワークをしている回答者全体に、コロナ禍以前と⽐較して「業務量、効率、権限」「同僚とのコミュニケーション、企業への帰属意識」「仕事と健康/家庭の両立」という3つの分野について増減があったかと聞いたところ、「変化なし」という答えが多くの割合を占めた。一方、回答結果をハイパフォーマーとローパフォーマーに分けて見ると、各分野で双方の答えに大きな差があると判明した。
例えば、「一日の平均的な業務量」については、ハイパフォーマーの30%が「増加した」と回答したのに対し、ローパフォーマーの36%が「減少した」と答えた(図1)。「担当業務の効率性」は、ハイパフォーマーの33%が「増加した」、ローパフォーマーの34%が「減少した」と回答した。「担当業務の権限/裁量」は、ハイパフォーマーの19%が「増加した」、ローパフォーマーの22%が「減少した」と答えた。この結果から、ハイパフォーマーに業務や権限が集中してしまっている傾向があると分かった。
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