前回の記事において、「IBM i(旧AS/400)」のオープン化、近代化の手法とメリット、デメリット、その違いを解説した。今回は、これらの手法を選ぶ前にどのように社内のシステム担当者とやることを話していくかなどを解説する。
業務には「普遍、不変、劇変、漸次、暫時」なものがある
「デジタルトランスフォーメーション(DX)で激変するビジネス」「AIで激変の世界」など、「激変」という言葉が多用されており、IBM iのアプリケーションのオープン化や近代化に関しても例外ではない。「激変」についていけなくなるから「全部変えないと!」というようなメッセージがメディアやITベンダーから出ているが、システム化の対象となっている業務は全て激変しているだろうか? 否である。業務は激変するもののほかに、普遍、不変、漸次、暫時なものがあるからである。IBM iのアプリケーションをなんでもかんでも変えなければいけないわけでは無い、ということをまず押さえておくことが重要である。
まずは解きほぐせ!
IBM iのアプリケーションのオープン化や近代化において、まずは、対象業務となる項目の準備と、その仕分けをおすすめする。本記事では以下の項目と言葉の解釈で仕分けの例を示す。
(1)普遍--特定のものに共通するもの
企業ごとの独自性があまりなく、企業共通の業務、人事採用や経費申請など多数の細分業務が当てはまる。
(2)不変--変わらないもの
その企業独自の業務だが変更はほぼ無いもの。ライフサイクルの長い製品を扱っていて、それに伴う管理システムなど、改変によるメリットが無いもの。
(3)激変--ありさまや情勢が急激に変化するもの
新しい事業を次々に実施し、また廃止も多いもの、一つの事業だが改正を繰り返し競争に勝っていかなければならないもの。ECサイトやマーケティング、デザインの他、業務自動化、効率化の必要な事業など多岐に渡る。これは業種とその市場競争の状況に寄る面も大きい。
(4)漸次--段階的に変化させるもの
優先度は(3)ほどではないが、長期計画で改善する業務、バックオフィス業務などが当てはまる。
(5)暫時--しばらくの間、変える必要のないもの
(3)(4)の対応の後に対応するもの、(1)の対象業務で刷新の効果が低いものがあてはまる。