量子科学技術研究開発機構は、4月から国立研究開発法人として初めて電子サインサービスの「Adobe Sign」を導入した。研究契約などを取り扱うイノベーションセンターでの契約事務や、各研究部門における国内外の研究機関とのやりとりを中心に利用していくとともに、今後は人事業務や商業取引にも活用していく。
同機構では、法令により長いものでは30年以上にわたって文書を保管する必要があり、契約書をクラウド上で安全に保管できることがペーパーレス化での必須条件だった。これに対しAdobe Signは、電子文書を長期にわたって保存するISO標準に準拠したPDFを作成できるほか、データセンターが国内に所在しているなど、同機構の求める要件に合致していたという。
同機構では、国内外の研究関連機関との共同研究契約書や秘密保持契約書のやりとりを紙文書ベースで行っており、多大な労力と時間を要していた。また、それに伴って郵送費やこれら紙文書を長期にわたり保管する環境を整備するためのコストがかかっており、紙ベースでのやりとりのため、当該業務を実施する上で担当者が出社を余儀なくされていた。
Adobe Signについて同機構は、英語、ドイツ語、中国語、日本語、韓国語、フランス語、スペイン語、イタリア語、オランダ語など34言語に対応していることや、送信者と署名者がそれぞれ言語を指定して署名を依頼することが可能な点などを評価、採用に至ったとする。グローバルでの認知が高く、海外研究機関ともやりとりがしやすい点なども採用のポイントとなった。