Google CloudとAT&T、5Gやエッジで提携拡充

Stephanie Condon (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2021-07-07 14:42

 Google CloudとAT&Tは米国時間7月6日、5Gを活用した新たなアプリケーション開発や、オンプレミス環境あるいはネットワークエッジでのアプリケーションの実行に関して企業を支援する一連の新サービスを発表した。両社は1年以上前に新たな提携を発表し、小売業や製造業、運輸業向けの5Gエッジコンピューティングソリューションのポートフォリオを提供するとしていた。

 「AT&T Multi-Access Edge Computing(MEC)with Google Cloud」は、AT&Tの既存の5GサービスやフルマネージドのMECサービスと、人工知能(AI)や「Kubernetes」、機械学習、データアナリティクスといったGoogle Cloudの機能を連携させる。このソリューションで、企業はモダンなアプリケーションをエンドユーザーに近い場所で構築、実行することが可能になる。オンプレミス、顧客のデータセンター、そしてどのクラウドでもデータを管理できる柔軟性も備える。「AT&T Network Edge(ANE)with Google Cloud」は、企業がエッジに位置するGoogleの拠点(POP)にアプリケーションを配備できるようにする。これは、AT&Tの5Gネットワークやファイバーネットワークに接続される。

 Google Cloudのグローバルテレコム、メディア、エンターテインメントソリューション事業担当バイスプレジデントGeorge Nazi氏は米ZDNetに対し、「私たちは、5Gとエッジの経済性を改善し、AT&Tを通じてエンタープライズ企業がより高速で魅力的なエクスペリエンスを大規模に生み出せるようにする機会を得ている」と述べた。「当社が目指すのは、これらの企業がどこにあっても、所有するアプリケーションを利用する上で満足させることだ」

 通信事業者とパブリッククラウドプロバイダーが、5Gとエッジコンピューティングによって開かれた新たな市場で地位を築こうとする事例が増えている。低遅延の接続性を実現することで、さまざまな業界で、さらなるデータを処理できるようになるほか、新しい変革をもたらす可能性のあるアプリケーションを開発できるようになる。例えば、製造業ではAIを利用した品質管理アプリケーションを導入する、ヘルスケア事業者では、仮想現実(VR)を利用して遠隔治療を行うといったことが可能になるだろう。エンターテインメントの会場では、スマートな駐車場やチケットレスの入場プログラムを構築できる。小売業はビデオ分析サービスを導入し、混雑の制御や盗難防止に役立てることができる。

 AT&T、T-Mobile、Verizonはそれぞれ独自の戦略で市場シェアを獲得しようとしている。AT&Tは5Gとファイバーの両方を含むハイブリッドのアプローチで企業にアピールしている。また各社は、Googleのほか、IBMやMicrosoft、Accenture、Deloitteなどのパートナーと連携して取り組んでいる。

 Google、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azureも、5Gエコシステムにおける通信サービス​プロバイダーとの提携を強化している。

 AT&Tのビジネス部門で製品およびプラットフォームを担当する最高責任者のRasesh Patel氏は、GoogleとAT&Tが提供するオンプレミス環境向けの新サービスについて、「Googleのクラウド機能をすべて備えたフルマネージド型のマルチアクセスエッジコンピュートを実現する5Gネットワーク」になると説明している。また同氏は、「企業は自社のアプリケーションをエンドユーザーに近い場所で構築、実行できるようになる。さらに企業は、データとコンピュートをオンプレミス環境、顧客のデータセンター、あるいはクラウドに配置するという柔軟性を得られる。また、これによりデータセキュリティの統制の強化や、レイテンシーの低減、帯域幅の拡大ももたらされる」と述べた。

 また、顧客はこのサービスで、Googleが提携している35を超えるISVパートナーが提供する200超のソリューションなど、Googleのエコシステム全体にアクセスできるようになる。さらに、「Googleマップ」や「Google Pixel」スマートフォン、拡張現実(AR)/仮想現実(VR)サービスといった、Googleと親会社Alphabetのサービスを活用できるようになる。

 AT&T Network Edge(ANE)with Google Cloudは実質的に、AT&Tのエッジ/ファイバーネットワークで顧客とGoogleのエッジPOPを接続し、さらなる低遅延と、よりシームレスな顧客エクスペリエンスを実現する。このサービスは主要な都市の15のゾーンで提供される。まず、2021年中にシカゴで開始され、さらにアトランタ、ダラス、マイアミ、サンフランシスコで段階的に展開される予定だ。

 また両社は、Google Cloudのエッジにおけるニアリアルタイムのネットワーク情報を活用し、ネットワークAPIがいかにアプリケーションを最適化できるかを評価している。

 両社は共同のGTM(Go-To-Market)戦略の取り組みを有しており、さまざまな業界を支援するために両社のソリューションチームを活用していく。Patel氏は「これにより、新たなレベルのイノベーションを実現するためのビルディングブロックが提供される。またこれは、単一の目的のための取り組みとはならない。これは、さまざまな業界に適合し、さまざまな環境で実現するイノベーションとなるだろう」と述べた。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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