米MicrosoftとNECは7月13日、戦略的パートナーシップをさらに拡大し、NECがMicrosoft Azureをクラウドとして優先的に採用することを発表した。NECはAzureを用いた顧客のデジタル変革(DX)の推進、ビジネスモデル変革、デジタルワークプレイス構築などのソリューションを強化する。
デジタルワークプレイスに関しては、NECのオンプレミスのIT環境をAzureに移行させ、Azure Virtual Desktopと各種AzureサービスをNECグループの11万人の従業員に展開する。NECは既存のMicrosoft 365を活用して働き方改革を進め、顧客にもデジタルワークプレイスを提供することで、クラウド移行を加速させるとしている。
また、5G(第5世代移動体通信)などの高速・低遅延のデータ接続を活用した高性能なネットワーク体験を通じて、さらに効率的な働く環境を構築し、企業、公共機関における業務遂行力を向上させ、従業員個々人の働き方を確立できるようにするという。
この他に、Microsoftのエッジコンピューティング関連ソリューションやNECのローカル5G(私設型5G)技術などを活用して、業種ごとのDX共同支援を展開する。小売では人工知能(AI)により顧客の取引データをリアルタイムに分析して購買パターンの算出、業務効率の向上、新たな市場機会の創出につなげるという。AzureとAI、IoT技術などを組み合わせて顧客体験を強化し、店舗での安全な運用や保守に図る。両社で企業・公共向けにMicrosoft Azure上に構築するネットワークの革新的な取り組みも推進していくとしている。
協業強化をオンラインで発表したMicrosoft 会長CEO(最高経営責任者)のSatya Nadella氏は、「NECとの戦略的提携によりAzureとMicrosoft 365、NECのサービスやインフラに関する専門知識を組み合わせて公共機関や企業のレジリエンスを実現し、変革を支援する」とコメント。NEC 代表取締役 執行役員社長 CEOの森田隆之氏は、「グローバルレベルの戦略協業の拡大をうれしく思う。グローバル展開する企業がDXを進める上で、これまで以上に安全・安心なデジタルサービスを利用いただけると確信している」と述べた。
提供強化を発表したMicrosoft CEOのSatya Nadella氏とNEC 社長 CEOの森田隆之氏(右)