Broadcomが株式非公開企業SAS Instituteの買収に向けて交渉を進めているという。The Wall Street Journal(WSJ)が報じた。WSJは匿名情報筋の話として、この買収でSASの企業価値は150億~200億ドル(約1兆6600億~2兆2100億円)と見積もられていると伝えている。
SASは1976年に創業し、ノースカロライナ州ケーリーに拠点を置いている。従業員数は1万2000を超え、現在145カ国に顧客を擁する。アナリティクス、機械学習(ML)を活用した製品、データ管理などのさまざまな分野で幅広いソフトウェア製品を手がけている。
Forrester Researchのバイスプレジデント兼プリンシパルアナリストのMike Gualtieri氏によると、SASのサービスが大企業に浸透していることや、アナリティクスツールの価値を考えた場合、150億〜200億ドルという価格は適正だという。
Gualtieri氏は声明で、「Broadcomが先進的な人工知能(AI)を活用したアナリティクス企業に買収を持ちかけるというのは、一見すると意外で考えにくい話のようだ」とした上で、「しかし、これによってBroadcomはエンタープライズAIの分野ですぐさま活躍できるようになる」と述べている。
Broadcomは主に半導体企業として知られているが、近年複数の企業を買収し、ソフトウェア事業を拡大している。ソフトウェア関連事業には、自動化や監視ソリューションをはじめとするエンタープライズソフトウェアのほか、メインフレームソフトウェア、セキュリティなどがある。2019年には、Symantecのエンタープライズセキュリティ事業を107億ドル(約1兆1300億円)で買収すると発表した。2018年には、CA Technologiesを189億ドル(約2兆1200億円)で買収している。
またBroadcomは2018年、Qualcommに対して買収提案を行っていたが、Qualcommが拒否したほか、米政府が禁止令を出したことを受け、断念した。当時のDonald Trump大統領は、この取引が米国の「国家の安全を損なう」恐れがあるとして、買収を禁止した。Broadcomは同年、本社をシンガポールから米国に移転している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。