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SIerより先に契約書作成を自動化--3種の神器でデジタル化し続ける税理士事務所の挑戦

石田仁志 藤代格 (編集部)

2021-07-26 07:15

 エンジョイント税理士法人(福岡市博多区、従業員数16人)は、現在代表社員税理士を務める智原翔悟氏が2017年4月に設立した智原税理士事務所と、磯山大樹税理士事務所を2019年4月に経営統合して発足した。

 税理士は全員30代前半で、ITやクラウドサービスを積極的に活用して自社業務の効率化を進めつつ、顧問先となる顧客に対してもそれらの知見を武器としてバックオフィスの効率化までを支援。多くの中小企業の経営をサポートしている。

IT活用が遅れる税理士事務所の現状

 エンジョイント税理士法人では、開発ツールやクラウドストレージ、チャットなどさまざまなクラウドサービスを積極的に活用し、事務所業務の効率化を進めている。ITツールの選定からローコードツールを使った業務システム開発までを智原氏が一手に担当している。

 しかし、数年前までは税理士業務にITやデジタルツールはほとんど使っていなかったという。その背景にあるのは、税理士事務所業務がIT化されていないという実態である。

エンジョイント税理士法人 代表社員税理士の智原氏
エンジョイント税理士法人 代表社員税理士の智原氏

 「以前勤めていた税理士事務所では、顧問先とのやり取りは基本的に電話、ファクス、USBメモリー――。チャットはおろかメールさえも使いこなせておらず、事務所には1つの共有アドレスがある状態でした。年齢層が高かったこともあり、事務所の方針として書類は紙での保存が前提。私の勤務先が特別だったということではなく、それが今もなお税理士事務所の一般的な姿だと思います」(智原氏)

 事務所には1台サーバーがあったが電子化とは程遠い状態で、ファイルサーバーの中には計算をしたExcelなど、オフィスソフトのデータが保存されている程度だったという。

 顧問先から預かる書類や決算書、作成した書類に関してもすべて紙でやり取りし、自社では全部分厚いバインダーに入れて倉庫に保存。

 直近2年分の書類は事務所に保管し、それをボストンバッグに入れて客先を訪問するという状況で、「保存場所も取るし、データを探したり整理したりするのにかなりの時間を使っていました」と智原氏は当時を振り返る。

 そのような不便を体験していたことから、智原氏は独立する際に、自らのブランディングも兼ねて“ITツールを積極的に使いこなす税理士事務所”というビジネスモデルの構築を決意。「サーバーを会社に置きたくなかった」(智原氏)という考えで、それまで個人アカウントで使っていたクラウドストレージの「Dropbox」をベースに、ビジネスチャットツールの「Chatwork」と「G mail」、さらに業務で活用するクラウド会計ソフトの「freee」と「マネーフォワード」と、クラウドサービス群をベースに業務を組み立てた。そしてここを起点に、事務所内のシステムがどんどん進化していくことになる。

デジタル化を支える3種の神器

 1つめの進化をもたらしたのが、Dropboxのドキュメント共同編集機能「Dropbox Paper」である。社内での議事録や決算の科目検討、顧問先との議事録共有に活用しており、そこからビジネスへのIT活用の効果が出てきたという。

 「Paperにはヘッダー機能がついているので、議事録を日付ごとに続けていけるが、『Word』や『Google ドキュメント』ではできない。セルも使えるので税理士事務所業務に適している」と智原氏はツールのメリットを説明する。

 2つめの大きな進化が、業務アプリ構築PaaS「kintone」である。従業員を採用してから業務管理の必要性が生じ、さらに顧客データベースも統合する必要があったため、kintoneを導入した。実はその前にSalesforceを導入したが、エンジニアではない智原氏には手に負えず、ドラッグ&ドロップで業務アプリを開発できるkintoneに辿り着いたという流れである。それ以来kintoneを駆使し、さまざまな業務アプリケーションをスクラップ&ビルドで開発し続けている。

 そして3つめが、APIの活用である。各種SaaSのAPI連携機能を提供するデータ連携サービス(Integration Platform as a Service:iPaaS)の「Zapier」が、kintoneとともに同法人の業務システムを高度化させるブースター的存在となっている。

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