ピュア・ストレージ・ジャパンは7月29日、Kubernetes向け統合データ基盤「Portworx」の次期バージョン「Portworx Enterprise 2.8」およびクラウドベース管理ツール「Pure1」の最新バージョン「Pure1 Digital Experience」に関するプレス向け説明会を開催した。
概要を説明した同社 代表取締役社長の田中良幸氏は調査会社による市場調査の結果を紹介。2021年第1四半期の日本の外部ストレージ市場が11.5%の縮小を示す中で同社は85.5%という大幅な成長を遂げたことを明かし、「市場自体が縮小する中で好調に事業を拡大できている」とした。
調査会社による、2021年第1四半期の外部ストレージ市場の成長率
今回発表の新機能の概要
続いて、同社が一貫して掲げるメッセージである「モダン・データ・エクスペリエンス」に関連する最新のメッセージとして「ボトルネックからブレイクスルーへ」を紹介し、その真意を説明した。「データは今や企業の最も強力な戦略上のツールとなっているが、データがボトルネックになっている部分が多くある。このボトルネックを一気に解き放って企業活動のブレイクスルーに変えていくことをPure Storageのミッションとして取り組んでいく」(田中氏)
続いて、同社 クラウド・アーキテクト(Portworx)の溝口修氏がPortworx Enterprise 2.8の概要を説明した。2020年に行われたPortworxの買収はPure Storageにとって過去最大(約3億7000万ドル)で、Kubernetesデータサービスへの進出、さらにマルチクラウドデータサービス市場での同社の存在感を高めるきっかけとなった。最新となるバージョン2.8は8月にリリース予定で、買収後初となる統合バージョンになるという。統合の進展を象徴するのが、同社のクラウドベース管理ツールとの統合だ。コンテナーとアプリの可観測性がPure1を通じて提供され、プロアクティブなサポート基盤も提供される。
Portworxの概要
最後に、同社 プリンシパル・システムズ・エンジニアの岩本知博氏がPure1の強化について説明した。同氏は「データを起点としたビジネスを生むためにインフラとして何をしなければいけないのか」という問いに対する答えとして「インフラにはできるだけ人間が手を触れない、シンプルなものにすべき。自動化・自律化が重要」だと強調した。
同社製品は全てこうしたコンセプトを反映してシンプルに設計されており、さらに全てをクラウド上で監視するツールとしてPure1が提供されている。プロアクティブな運用管理を実現するクラウド型の管理ツールとしては競合他社からも提供されているものがあるが、同社はそれらとの違いとして「全てのログがPure1に送られている」ことを挙げた。
Pure1と競合との違い
同氏は「構成情報やエラーログのみをクラウドに送るのが一般的だが、Pure1では全てのログをクラウドに送ってAI(人工知能)で分析する。ベースとなるデータの質と量が全く違う」とした。その結果、Pure1では実運用を想定した豊富なシミュレーション機能や各種の推奨提案が行えるという。
また、グローバルで同社製品を活用しているユーザーからのログを解析していることから、例えば、運用中のシステムに新たにデータベースを追加したらどうなるか、といった予測を実際にデータベースを運用中の他のユーザーのログをもとにシミュレーションするようなことも可能で、より高度な予測が可能になる。
ユーザーの使用状況を踏まえたアップグレードの推奨なども高精度に行え、さらに製品やサービスをその場で発注したり、同じ情報を参照しながら営業担当者やサポートエンジニアとやりとりしたりすることも可能だといい、同氏は「Pure1はもはや単なる監視ツールではない。ユーザーとメーカーをつなぐコミュニケーションツールだ」という。
これらの機能強化によって、同社は「クラウドおよびKubernetesアプリケーションのより容易な採用、そして今日のバイヤーに合わせた新しいインフラストラクチャーの取得とコントロール戦略が可能になる」としている。
ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長の田中良幸氏