なお、ITRの調査によると、パンデミックの影響により国内企業のIT投資の勢いは前年比で減速傾向にありますが、マイナス値となった2008年の経済危機とは違い、全体的には増加基調を維持しています。
また、半数以上の企業は、パンデミックを機にIT戦略やデジタル化の実行を加速させると回答する一方、減速すると回答した企業は20%にとどまっています。
2.俊敏性(アジリティ)と最適化を新たな優先課題に
パンデミックの間、ITの最大の課題は、当然のことながらその複雑さにあることが判明しました。物事が急速に進化し、時間が重要視される新たなビジネスの現実の中で、31%以上のIT専門家が、社内プロセスの再考が必要であることを認識し、より俊敏でリソース集約度の低いものにする必要があると考えています。
プロジェクトの明確な理解と優先順位付けが最重要課題に挙げられる中で、IT専門家にとってはネットワークとインフラストラクチャの最適化が新たな優先事項となっています。
多くの企業では、管理やメンテナンス、保守を簡素化するために、複数のソリューションやベンダーを統合することから始めています。絶え間ない変化に直面してもアジリティを維持するために、53%以上のIT専門家が、部門を横断したより緊密なコラボレーションの必要性を挙げています。
他部門からのフィードバックやコミュニケーションを迅速に受け取り、処理し、ITの枠組みに取り込むアジャイル開発とDevOpsの方法論が、まだ採用していないITチームに普及していくことが予想されます。ポストコロナの世界では、アジリティと最適化がIT専門家にとって非常に重要になります。
2020年は異例の年になるかもしれない、あるいはクラウドやデジタルトランスフォーメーションでもっと成功するかもしれないと考えていたIT専門家も多いでしょう。実際には、適応力と創造的に方向転換する能力が、なぜビジネスにとって非常に価値があるかを再認識する一年となりました。
2021年はITにとって素晴らしい年になるかもしれません。2020年を通じてビジネスへの献身的な取り組みを継続し、コミュニケーション、プロセス改善、「不可能」な技術的課題をも克服するのに役立つことを示す、新たな契機となったからです。