離脱メンバーを出しつつも12システムを開発
業務アプリケーション開発は、年明けから開始。ローコード/ノーコード開発製品ということで、自ら作ると啖呵を切ったものの、推進メンバーは全員エンジニアスキルがゼロである。藤田氏は、「苦労はしたものの、自分で調べたり、ドリーム・アーツのSEに教えてもらったりしながら意外と楽しく作成できた」が、離脱してしまったメンバーもいたという。藤田氏は通常の業務を回しつつ、稟議、申請、支払業務のアプリを10システム、それらが参照するマスターDBを2システム、計12システムを3カ月で開発することとなった。
「一番苦労したのが稟議書で、作り直しを重ねて開発に3カ月かかった。一方で、簡単なものは3時間程度で開発できた。今回挑戦してみて、ノーコードといっても、ロジックの組み立てや地道な作業という部分で、皆が同じレベルで作っていけるわけではないことも分かった。ただ、作っていけばいくほど理解は深まっていく。難しく考えなくてもアプリは作れるということを何とか社内で浸透させていきたい」(藤田氏)
※クリックすると拡大画像が見られます
開発したアプリは4月から稼働を開始し、当該業務は完全ペーパーレス化された。反対派を納得させるために当初は3カ月間のテスト運用ということで開始し、問題点をヒアリングするためのアンケートフォームを用意したが、「こうしたらもっといいという改善の要望だけで反対の意見はなく、むしろ今残っている紙ベースの業務フローを何とかしてほしいという声が大きかった」と、歓迎される結果となった。現在現場からは、48の申請業務をSmartDBに移行したいという声が上がってきているという。
稟議書業務で単純作業が年間200時間削減
定量的な成果としては、「稟議書業務1つをとっても、PDF化やファイリング、決裁が下りたという連絡をしなくて済むようになったので、年間200時間単純作業の時間が削減できる見通し。これらが今後学内で広がれば、何千時間もの削減が見込める」としている。現在は職員の300人が利用しているが、来年4月までに教員の業務へ適用する計画だ。
また、今後は現場でのSmartDBアプリ開発者を育成するという目標も掲げる。そしてその先、全ての業務がSmartDB上で回り出した後は、部門最適でワークフローやDBを勝手に作らないように、デジタル部門と連携してSmartDB内に開発を申請する業務アプリを作る計画である。藤田氏は「開発者は部門ごとに1人、合計で3~5人は確保したい。そしてチームを組んで、横串で業務デジタル化を進めていきたい」と先を見据える。学園全体で、教育とバックオフィス全般でデジタル戦略を推進する方針の中、組織全体を俯瞰したデジタル化計画を描いている。