本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、IBMが発表した最新のメインフレームOS「IBM z/OS V2.5」を取り上げる。
ハイブリッドクラウドへの対応やAI機能を強化
IBMは先頃、メインフレーム「IBM Z」向け最新OS「IBM z/OS V2.5」を発表した。ハイブリッドクラウドへの対応や人工知能(AI)機能を強化し、アプリケーションのモダナイズを簡素化できるようにした。9月30日に提供を開始する予定だ。(写真1)

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新OSはAI機能やアプリケーションモダナイゼーションをはじめ、レジリエンシー(回復力)、セキュリティ機能、デベロッパーエクスペリエンスの向上など、広範囲にわたって機能強化を図っている。
中でもAIについては、より多くの情報に基づく意思決定のためのビジネスインサイトをユーザーに提供するために設計されたz/OSのワークロードと強固に統合されたハイパフォーマンスな機能を提供していく構えだ。
ハイブリッドクラウドへの対応では、保護されたスケーラブルな利用環境を提供。アプリケーションモダナイゼーションをサポートして、z/OS上でクラウドネイティブな体験をもたらす機能を強化している。
具体的には、「Java」「COBOL」の新たな相互運用性として、31ビットと64ビットの並列アドレッシングをサポートし、既存のアプリケーションプログラミングモデルを拡張することで、エンタープライズアプリケーションモダナイゼーションを簡素化できるようにしている。
また、付加機能である「z/OS Container Extensions(zCX)」の性能強化と使いやすさを向上。これにより、「Linux」のアプリケーションおよびユーティリティをz/OSに統合することができる。さらに、クラウドストレージを統合するための機能を追加。この機能は、透過クラウド階層化(TCT)とオブジェクトアクセス方式(OAM)のクラウド階層サポートを通じて提供する形で、IBM Z上での簡易なデータの保存と保護のための、ハイブリッドクラウドストレージ環境へのデータ転送に伴う資産および運営の費用を削減できるとしている。
一方、セキュリティ機能では、認証、許可、ロギング、システム保全性、システムおよびデータの可用性、伝送途中および保存されたデータの暗号化、そしてデータプライバシー全体にわたる幅広い強化を行っている。
特徴的な強化ポイントとしては、全方位型暗号化を新たなタイプのデータセットにまで拡張。これにより、アプリケーションを変更することなくデータを暗号化して、コンプライアンスを簡略化する機能を提供している。