Eric Yuan氏が「よりよいビデオ会議製品を作る」というシンプルな目標を掲げてZoomを立ち上げたのは2011年のことだ。今日のZoomは、世界でも有数の知名度を持つブランドになっており、もっとも急激な成長を遂げている企業の1つでもある。
Zoomの最高経営責任者(CEO)であるYuan氏は、世界の舞台で市場からの厳しい目にさらされる中、どのように急成長する企業を運営しながら、カスタマーハピネス(顧客幸福)を維持しているのだろうか。これは難しいことであり、Yuan氏が同社を経営する上での中心課題でもある。
筆者は2018年に、Yuan氏に従業員体験とカスタマーハピネスの関係について尋ねたことがある。
その際、同氏は「ビジネスを作るにあたって、CEOがすべてのことをやる訳にはいかない。従業員を信頼して仕事を任せる必要がある」と語っていた。
当時同氏は、「もし従業員が幸せを感じていなければ、顧客もそれを感じ取り、幸福感を感じることはできないだろう。CEOである私の最優先事項は、従業員に幸福感を持たせ、彼らがその幸福感を顧客にも届けられるようにすることだ。それがZoomの社内における最優先事項だ」と述べていた。
「CXOTalk」のエピソード#709では、Yuan氏がカスタマーサクセスを実現するために、Zoomが何を重視しているかについて話を聞いた。
同氏のインタビュー全編を収録した動画や、そのインタビューの書き起こし全文(英語)も公開されている。この記事では、CXOTalkでYuan氏が語った内容の要点を紹介する。
Zoomにとってカスタマーハピネスとは
カスタマーハピネスは今もZoomの中核的な価値観です。そのことはまったく変わっていません。
コロナ禍以前のZoomは、企業や、ビジネスや、政府機関の顧客向けに作られていました。しかし2020年以降に、新たに多くの消費者が顧客になりました。私たちはそれに大きな責任を感じています。今は企業を幸せにするだけでなく、新たなユースケースについても取り込んでいき、それらに対応するための取り組みを増やして行きたいと考えています。
第1に私たちは、すべてのことを顧客の視点から見る必要があります。それが1番重要です。
2番目に重要なのは、Zoomを初めて使う新しいユーザーが増えたため、彼らの信頼を得るために、あらゆることをオープンにして透明性を保つ必要があるということです。私たちは、なぜ何かを変更するのか、なぜ顧客はプランをアップグレードしなければならないのか、あるいは次のリリース、次のバージョンになぜアップグレードする必要があるのかといった情報を顧客と共有し、伝えていかなくてはなりません。新規ユーザーの多くが初めてZoomを利用する一般消費者であるため、私たちは上手にコミュニケーションを取る必要があります。これが2番目に重要なことです。
3つ目は社内の話で、私たちは企業文化を大事にする必要があります。これは極めて重要です。