The Document Foundation(TDF)が、「LibreOffice 7.2 Community」をリリースしている。「LibreOffice」は、無料で自由に使えるオープンソースのオフィスソフトだ。
LibreOffice 7.2は、「LibreOffice 7.1 Community」のリリースから約6カ月後にリリースされた。TDFは今回のリリースでも、企業ユーザーに対して無料のCommunity版ではなく、「LibreOffice Enterprise」を利用するよう求めている。有償のEnterprise版ではパートナーからより手厚いサポートを受けることができる。
TDFは、LibreOfficeを「自由・オープンソースソフトウェア」(FOSS)と称している。ボランティアによって開発されているCommunity版を企業組織がフリーライドする行為は慎むべきであり、さもなければLibreOfficeはオフィスの生産性スイートである「OpenOffice」のような停滞に陥る可能性があるという見解を維持している。OpenOfficeは2011年にOracleからThe Apache Foundationに移管されている。
TDFはLibreOffice 7.2の発表を伝えるブログ記事で、「TDFは企業や団体へのLibreOfficeの導入について、特別な付加価値を多数提供するエコシステムパートナーによるLibreOffice Enterpriseファミリー(デスクトップ、モバイル、クラウド)の導入を強く推奨する。これには、長期サポートリリース(LTS)、専任サポート、お客様向けに開発された新機能、サービスレベル契約(SLA)など多くの特典が含まれる」とし、「このように推奨しているにもかかわらず、さまざまなエコシステムの企業によってサポートされ、企業のニーズに最適化されたLibreOffice Enterpriseではなく、ボランティアサポート版のLibreOffice Communityを採用する企業が増えている」と述べている。「このことは、プロジェクトの進化を遅らせ、次第にLibreOfficeプロジェクトの持続可能性に問題をもたらす」という。LibreOfficeは、「Windows」「Linux」「macOS」などに対応している。
さらに、「プラットフォームの開発が遅れることは、あらゆるレベルのユーザーに悪影響を与え、いずれLibreOfficeプロジェクトの停滞につながる可能性がある」としている。
つまり、OpenOfficeからフォークしたLibreOfficeにOpenOfficeと同じ運命を歩んでほしくないと考えるに企業ユーザーは、LibreOfficeの企業サポートパートナーを通じてTDFのプロジェクトをサポートするべきだろう。
TDFによるLibreOffice Enterpriseのページで、LibreOffice Communityは「家庭や小規模オフィスでの利用に最適」だとされている。このエディションは技術サポートを提供していない。
また、「LibreOfficeは、学校や教育機関、研究機関、企業、大規模組織などにも適している。このような場所に導入する場合、エコシステムパートナーが提供するLibreOffice Enterpriseの利用を強く推奨する」とされている。
LibreOffice 7.2のアップデートに関して、特に注目するべき内容は、Microsoftの独自ファイルとの相互運用性向上、Armベースの「Apple Silicon」プロセッサーへのネイティブ対応などだ。ただしTDFは、Apple Silicon対応について、バイナリーは提供するが、このプラットフォームでの開発は初期段階であることから、「重要な業務などでの利用は控えるべき」だとしている。
主な新機能は以下の通り。
- メニューコマンドを検索するポップアップリスト検索機能
- スクロールしてスタイルが選択できるスタイルピッカーをノートブックバーに
- サイドバーにフォントワーク操作パネル追加
- テンプレートダイアログに新たなリスト表示追加
- マクロ作成に役立つXrayのような「UNOオブジェクトインスペクター」
「Writer」(ワープロ)、「Calc」(表計算)、「Impress」(プレゼンテーション)と「Draw」(グラフィック)などの主なアプリのアップデートなどを含め、LibreOffice 7.2 Communityの主な新機能は動画で紹介されている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。