NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は8月20日、大和ハウスとの取り組み第2弾となる「倉庫環境監視IoTソリューション」を発表した。大和ハウス工業が開発したマルチテナント型物流施設「DPL新富士II」で運用を8月23日から開始した。
マスク着用時の体温上昇による熱中症やインフルエンザの罹患(りかん)リスクを軽減するため、施設内の温度や湿度をリアルタイムで測定し、管理者へ警告を発する。13台の機器を組み合わせて運用する。
NTT Com プラットフォームサービス本部 データプラットフォームサービス部 5G・IoTタスクフォース 担当部長 飯田博之氏は「電源も配線も不要。ネットワークは無線LAN、(設備設置)工事が不要なのが特徴的」と解説した。
温湿度センサーで気温と相対湿度を近似式で算出
NTT Comと大和ハウスは、マルチテナント型物流施設作りに向けた取り組みを継続的に続けており、2020年12月3日には「AIを活用したマスク着用の有無や混雑具合を自動検知する」実証実験を開始している。その基盤となるのが、データを収集、蓄積、管理、分析する「Smart Data Platform」(SDPF)。今回の倉庫環境監視IoTソリューションはSDPFのIoT基盤としてデータを管理する「Things Cloud」を活用した。
倉庫環境監視IoTソリューションは暑さ指数(Wet Bulb Globe Temperature:WBGT)センサーや温湿度センサー、異なるフロアーをつなぐ中継器、クラウドにデータを送受信する中継器で構成される。WBGTセンサーが測定する温度や施設内の気温、相対湿度を熱中症発症の評価指標となるWBGT値測定精度規格を定めた「JIS B 7922」に準じて計算。5段階のリスク状態をディスプレイに示す。
インフルエンザ対策はワクチン接種や衛生の維持、免疫力の向上などが求められるが、空気乾燥に伴い気道粘膜の防御機能が低下で罹患率が高まることに着目し、温湿度センサーで気温と相対湿度を近似式で算出。導き出された絶対湿度をもとに4段階のリスク状態を示す仕組みだ。
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測定、リスク情報はダッシュボードに映し出されるが、しきい値を超えたデータを受信した際は管理者へ警告メールを送信する。マルチテナント型物流施設のDPL新富士IIは、複数のテナント企業が入居できる物流施設のため、全体の倉庫管理者であれば各フロアーの監視データ、各企業の担当者であれば、特定のフロアーのみ監視するデータの範囲設定も可能だ。