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第1回:コロナ禍のHRトピックスから見えてくる「個を生かす時代」とは?

内田壮、齊藤直子 (カオナビHRテクノロジー総研)

2021-09-13 07:00

はじめに

 「働き方」が今、大きく変化しています。筆頭は「リモートワーク」の普及でしょう。新型コロナウイルス感染症の流行を背景にリモートワークの実施率が高まり、カオナビHRテクノロジー総研の調査では、1回目の緊急事態宣言中の2020年5月には、およそ35%の人がリモートワークをしていたという結果が出ています(図1)。リモートワークをしていない方も、耳にする機会は増えたのではないでしょうか。

(出典:カオナビHRテクノロジー総研)
(出典:カオナビHRテクノロジー総研)

 このような働き方の変化は、長期的に見れば、働く皆さんにも変化を強いることになります。この連載ではリモートワークをはじめ、「ジョブ型雇用」「健康経営」などコロナ禍で注目が集まったHR(人材)トピックスを取り上げ、働く現場の変化を捉えることで、読者の皆さんの業務やキャリア形成に生かせる見通しを提供できればと考えています。

「リモートワーク」「ジョブ型雇用」「健康経営」はなぜ注目された?

 リモートワークが注目されたのは「ソーシャルディスタンスを保つ」という分かりやすい文脈がありますが、ジョブ型雇用や健康経営は、なぜ注目されたのでしょうか。ジョブ型雇用とは、欧米で主流とされる雇用の在り方で、職種と階層から特定される「ジョブ(≒職務)」に基づいて雇用契約が結ばれるシステムと言えます(ただし定義や見解にばらつきがあり、詳細は後続の連載で解説できればと思います)。

 ジョブ型雇用は、「リモートワーク下で働いている姿が見えづらく、成果で評価したい」というニーズから、盛り上がりを見せました。健康経営も比較的分かりやすい文脈で、感染拡大という脅威があったから盛り上がったと言えますが、こちらも「リモートワークで分かりづらくなった従業員の健康状態を把握したい」というニーズも根底にあるでしょう。

しかし注目すべきは「コロナ禍の変化」自体ではない?

 巷では「ニューノーマルな働き方!」など、コロナ禍が私たちの「働く」に根本的な変化を及ぼし、その変化についていけない者は淘汰されるかのように煽るコンテンツも見られます。確かに新型コロナウイルス感染症によってソーシャルディスタンスを余儀なくされ、リモートワークを開始した組織は多いので、コロナ禍が変化の契機になったことは間違いないのですが、そもそもコロナ禍以前からあった「HRの変化の潮流」を把握することなしには、さまざまなことを見誤る恐れがあります。

 HRの領域で、注目すべき大局的な変化の一つに「人材の価値の向上」があるでしょう。日本に限定すれば、少子高齢化に付随して生産年齢人口が減少していることが背景にあります。グローバルで見ると生産年齢人口全体は増加していますが、高度IT人材をはじめとし、高度なスキルを持つ人材の価値は高まり続けています。

 そしてこの変化の根底には、産業構造の変化、つまり第三次産業化(サービス化)の進展、中でもIoT、ビッグデータ、AI(人工知能)などの技術革新によって新たに生まれつつあるサービスを担う人材が必要となっていることがあるでしょう。このような産業構造の変化は、人材一般に求める能力やスキルの変化も促しています。定型業務をミスなくこなすことから創造性の発揮が求められるように、マネジメントの在り方も画一的な管理から、メンバーの個性の発揮を促す方向に変化せざるを得なくなっています。

 当社カオナビは、タレントマネジメントシステム、つまりタレントマネジメントを実行するためのシステムの提供者です。タレントマネジメントの定義はさまざまですが、定義間で共有されている要素として

  1. 従業員の全員あるいは一部を、才能や高い潜在能力を持つ人と捉える(その才能や高い潜在能力、あるいはそれを持つ人を「タレント」と呼ぶ)
  2. そのタレントをいかに獲得、開発、配置するかに焦点を当てる
  3. 組織の業績・成果を上げることが可能な営みである

といったことが挙げられます。当然だと感じるかもしれませんが、タレントマネジメントが提唱される以前、「ヒト」を資産や資源として捉える視点はあっても、ヒトが持つ能力やスキル、個性が「異なる」ということはあまり注目されていなかったと思われます。昨今、タレントマネジメントはHR界隈では半ば常識になっていますが、従業員を「個として捉え、個として生かす」といった考え方は、歴史的に見れば当たり前ではなく、その考え方が形成される背景には前述した産業構造の変化があるのです。

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