NECと九州大学、IoT基盤を開発--認知症患者向けの実証事業に採用

NO BUDGET

2021-08-30 07:00

 NECと九州大学が開発した「My-IoT開発プラットフォーム」が東京都の認知症高齢者向けIoT実証事業に採用された。

 同基盤は、内閣府が実施する「戦略的イノベーション創造プログラム 第2期/フィジカル空間デジタルデータ処理基盤」においてNECと九州大学が技術開発したもの。同基盤を軸としたコンサルテーション、業者間のマッチング、教育などの社会実装支援、普及活動を担う「My-IoTコンソーシアム」が、技術開発と社会実装の両輪で取り組みを進めている。

 今回、「AIとIoTにより認知症高齢者問題を多面的に解決する東京アプローチの確立」(東京アプローチ)を実現するシステムのエッジコンピューティング基盤としてナースコールメーカーのケアコムに採用され、9月から稼働する。

 同基盤は、IoTが普及していない国内の産業・地域などにおいて、IoTの利用者自身がローコードで簡単にIoTシステムを構築してデジタル化の価値を検証し、新規ビジネス創出につなげることを目的としたエッジコンピューティング基盤として活用される。

 東京アプローチは、電気通信大学が中心となって提案するテーマで、認知症患者のQOL(Quality of life)を維持するとともに、認知症患者のケアを担う介護士や家族の負担を軽減することを目指している。

 具体的には、認知症患者に装着されるウェラブルセンサーや居室に置かれた各種のセンサーとエッジコンピューティング、AI(人工知能)システムを連動させ、認知症患者を見守るだけでなく、認知症特有の行動症状や心理症状であるBPSD(認知症の行動・心理症状)の予測を自動的に行い、介護士へ通知してケア手法を提示する。

 東京アプローチを実現するシステムは、早期の社会実装を目指すため、安価かつ短期間で構築する必要があった。また、認知症患者のバイタルデータ、居室の環境データ、介護記録など、認知症患者にまつわるパーソナライズされた多種多様なデータを安全に収集して処理するエッジコンピューティング基盤を必要としていた。エッジ処理に加え、機器のリソース管理や多数のエッジのプログラムをリモートで配信・管理するための機能も求められたていた。

 ケアコムは、これらの要件に適した同基盤を活用することで、認知症予防を実現するためベッドサイドと室内環境の情報を収集し、通知情報と突合した行動予測を実施する。

 今後は、データの蓄積と予測をさらに強化し、蓄積された情報の解釈とその活用を前提としたセーフティマネジメントシステムの構築を目指す。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. クラウドコンピューティング

    生成 AI の真価を引き出すアプリケーション戦略--ユースケースから導くアプローチ

  2. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  3. セキュリティ

    マンガで解説、「WAF」活用が脆弱性への応急処置に効果的である理由とは?

  4. セキュリティ

    クラウドネイティブ開発の要”API”--調査に見る「懸念されるリスク」と「セキュリティ対応策」

  5. セキュリティ

    5分で学ぶCIEMの基礎--なぜ今CIEM(クラウドインフラストラクチャ権限管理)が必要なのか?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]