学習の加速か、後追い学習か
日本政府が出社者数の70%削減を呼びかけているなか、厚生労働省の「テレワークを巡る現状」によると、リモートワークを導入した企業の割合は、2019年には20%、2020年3月には26%、2020年6月の緊急事態宣言後には67.3%に増加しています。このような課題に直面してIT担当者の役割が大きくなっている一方で、IT担当者に求められるスキルも変化してきています。
2020年9月の時点で、調査対象であるIT担当者のうち、リモートワークへのビジネスシフトを支援するために新たなスキルを習得する必要があると答えたのは、わずか26%でした。テクノロジーは常に進歩しており、ビジネスが急速に「ハイテク化」しているため、この割合は必然的に増加します。IT担当者は、状況が加速し始めたときに取り残されないように今からスキルアップの努力を確実に続けることが賢明です。
しかし、IT担当者の半数以下が必要なトレーニングサポートを受けておらず、ネットワーク管理、サイバーセキュリティ、ハイブリッドITモニタリングなどの分野でスキルアップするために必要なトレーニングを受けたことがあるのは半数以下、リソースを入手したことがあるのは4分の1に過ぎません。
多くの企業が不要不急の支出に対する緊縮策を模索し続ける中、学習予算の確保はますます困難になるでしょう。逆に言えば、このような状況では、組織の技術スタックの健全性と、IT部門を新たなビジネス価値を生み出す戦略的な組織に成長させる機会が大きく損なわれます。
前向きなIT担当者には2つの選択肢があります。まず、将来起こりうる役割の変化を意識して、教育の軌道を計画することです。SolarWindsのITトレンドレポートによると、さまざまなIT担当者の役割は、必然的にハイブリッドなスキルセットとデジタルソリューションの知識を必要とする新しい役割に集約されていきます。IT担当者は、自身の責務がどのように変化していくのかを評価することで学習計画を最適化することができ、貴重な時間を重複したスキルの習得に費やすことがなくなります。
2つ目の選択肢として、IT担当者は、オンラインクラスを購入したり、ベンダーのトレーニングセッションが提供されている場合はそれに申し込んだりすることで、自費で研修を受けることができます。その場合は「THWACK」などのオンラインコミュニティーも活用してください。このようなコミュニティーでは、コミュニティーの貢献者やベンダーの専門家が投稿したレッスンから質問をしたり、ベストプラクティスを吸収したり、新しいスキルを学習したりすることができます。
今回のパンデミックでは、疑いの余地なく、IT担当者の適応力、好奇心、問題解決能力が、数カ月の厳しい状況を乗り切るのに十分なものであることが証明されました。
しかし、今後数年間はさらに厳しい状況となることが予想されます。IT担当者は、的確に状況判断をし、適切な分野でスキルアップを図れば、短期的に生き残るだけでなく、自分自身と組織の将来への道を切り開くことができるでしょう。